研究課題/領域番号 |
21K03027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
前原 由喜夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60737279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 動機づけ / 利他性 / 個人差 / 向社会性 / 認知機能 |
研究開始時の研究の概要 |
自分に対する利益が期待できるときにやる気が起こる(自己利益志向)か,それとも他者への利益が期待できるときにやる気が起こる(他者利益志向)か,その個人差を調べるための尺度を開発する。そして,それを用いて自己利益志向や他者利益志向の強さが,ワーキングメモリや問題解決などさまざまな認知機能の働きに与える影響について検証する。また,教育現場における「勉強することは自分のためになる」あるいは「勉強することは他人を助けることになる」という指導が学習モチベーションに与える影響に,児童生徒の自己利益志向や他者利益志向の個人差がどのように関与するかを調査する。
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研究実績の概要 |
今年度は昨年度作成した利他的動機づけと利己的動機づけの個人差を測定する尺度の信頼性と妥当性のさらなる検討を進めるとともに,それらの個人差がそれぞれの動機づけを喚起した認知機能課題のパフォーマンスにどのように影響するかを調べた。作成した尺度の信頼性と妥当性の検証に関しては,新たに150名以上の大学生のデータを取得し,確証的因子分析によってその構造の妥当性を確認した。また動機づけの方向性の個人差が認知機能に与える影響に関しては,言語性ワーキングメモリ課題と空間性ワーキングメモリ課題に,それぞれの動機づけ(利他的/利己的)およびその価値(低/高)を組み合わせた課題を作成し,その成績を観察した。動機づけの価値をさまざまに変化させて予備的実験を行ったが,動機づけの個人差が予期したようなパフォーマンスの差に直結することはなかった。例えば,利他的動機づけが非常に高く利己的動機づけが平均的な参加者は,利他的課題では高価値のときに課題成績が有意に高まるが,利己的課題ではそのような効果はみられない,といった結果は観察されなかった。そのため,課題の構成に関してはその価値の強度の設定の仕方などを再検討しなければならないと思われる。 また,中学生を対象にアンケート調査を行い,英語の学習に対する自律的な動機づけの程度と,英語を習得して「国際的な問題を解決する仕事をしたい」といった,利他的な目標に関する項目の評定点が有意な正の相関を示した。これは,自分の取り組んでいる学習に関して利他的な目標を持つことが,自律的な学習動機づけとポジティブに関係することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教員人事が不調に終わり,当該年度の受け持ち授業数が2倍になったため,研究に従事する時間が確保できなかった。また7月から12月までの約半年間,妻が体を壊してしまい,育児と看護に時間を奪われてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
利他的/利己的動機づけを組み合わせた認知課題の改良を試みる。また,利他的/利己的動機づけの個人差によって,学習意欲を喚起するための介入の仕方に違いがあるかどうかを検証するための準備を進める。
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