研究課題/領域番号 |
21K03052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
中坪 太久郎 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (90456377)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 幸福感 / 家族 / 児童 / 主観的幸福感 |
研究開始時の研究の概要 |
さまざまな時代や文化において,個人の「幸福感」と「家族」要因の関連が指摘されてきたが,親が子どもへの経済的援助を行うことで子どもの幸福感が上昇するとしても,同時に,子どもが親の相談に乗っていれば,サポートの交換によって幸福感への影響が調整される可能性がある。本研究では,個人と家族相互の心理的要因を含めた幸福感のモデルの検証と,量的研究結果の背後にある具体的プロセスへのアプローチを組み合わせた混合研究法によって,家族と幸福のつながりを明示的に示す。さらに,その知見を用いて,個人がセルフヘルプ技法として利用可能な臨床心理学的援助メニューの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの家族と幸福の関連に関する問いを受けて,本研究では,幸福感と家族要因の関連を量的モデルの検証によって明らかにすること,「家族から個人」と「個人から家族」への要因が相互に影響する際に,個人の中で働く心理的メカニズムに関する具体的・視覚的理論モデルを提示すること,「個人から家族」に向けられる行動や心理を個人がコントロールするためのセルフヘルプ技法を作成することを目的として設定している。 補助事業期間2年目である2022年度においては,第一の目的である量的検討で必要となる尺度についてのさらなる検討を行った。前年度までの検討において,家族全体を対象として質問紙調査を行うにあたり,特に子どもについては既存の尺度では対応できないことを問題点として考えており,その対応として,児童にも実施可能な尺度を作成し,探索的因子分析によって項目の選定を行っていた。2022年度は,さらに300名の児童を対象とした調査を行い,得られたデータについて確認的因子分析を実施した。その結果,3つの因子を潜在変数としたモデル適合度についても許容範囲の値が得られ,近接するその他の尺度との関連においても仮説が支持される結果となった。子どもの幸福感については近年その重要性が指摘されているが,得られた結果についても成人用の尺度とは異なる内容が含まれており,次年度家族全体を対象とした調査を行うにあたって,年代に適した尺度を用いて調査を行うことの意義が示されたと考えられた。またこの結果は,本研究の3つめの目的であるセルフヘルプ技法の開発においても援用可能と考えており,児童が自身の幸福感に焦点を当てる際に注目するべき内容として取り上げることができると考えられる。これらの研究結果については学会大会において報告を行い,現在論文としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の第一の目的である,幸福感と家族の関連についての量的研究については,まだ調査するに至っていない。幸福感を測定する際の尺度の選定を慎重に行っている点がやや遅れている理由のひとつとして挙げられる。今回の調査では家族全体が対象となるため,年代等もさまざまな研究協力者が含まれる。成人については既存の尺度で十分対応可能と考えているが,子どもについては認知発達や感情弁別の観点からも適切な測定となりうるかどうかを考える必要があり,今回子どもに用いるための尺度を新たに作成したことが現在の進捗に影響した。 また,2022年度においても,社会全体にcovid-19の影響による様々な制限等が残っており,その要因をどの程度まで組み込むのか,判断が難しい状況であった。そのため,大規模な調査の実施を延期したことも,現在の進捗がやや遅れていることに影響している。今後はその影響を考慮しながら調査の設計を検討し,実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施を行った調査および尺度の検討によって,子どもにも実施可能な尺度が作成された。そのため,家族の幸福感を測定する道具については課題が解決されたと考えている。また,covid-19の影響についても,国内外でその影響に関する論文が報告されていること,人々の生活様式についても以前の状況を取り戻しつつあることをふまえれば,その影響を考慮した調査設計をすることが可能と考えられる。 加えて,学会への参加等を通して,関連する領域の研究の進展や広がりについては確認できており,必要に応じて,関連領域の研究者との連携や協議を行うことが,今後の研究の推進にも有用となると考えている。さらに,データの整理や分析の補助については,アルバイト等も雇用することで,調査の設計や分析等に注力できることから,当初計画した研究内容に沿って推進されると思われる。 以上のことから,2023年度以降については,当初計画していたベースライン調査およびフォローアップ調査についても実施が可能と考えている。
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