研究課題/領域番号 |
21K03057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
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研究分担者 |
谷向 みつえ 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (20352982)
井ノ崎 敦子 徳島大学, キャンパスライフ健康支援センター, 講師 (40570099)
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
上野 淳子 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (90460930)
松並 知子 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (90534818)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 児童養護施設 / 性暴力予防プログラム / 5~8歳 / 9~12歳 / 5-8歳 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,児童養護施設を対象とした「性的問題行動等」に関する調査により,入所児間で性暴力が生起していることが明らかになった。性的虐待を受けた子ども達は情緒・行動上の困難を示すことが多く,トラウマ経験としての性被害は外傷後ストレス症状の重篤化や長期化を引き起こす可能性があることから,子ども間で起こる性暴力を未然に防ぐことは喫緊の課題である。本研究では,児童養護施設を対象として,「安全な環境づくり」を目指した施設職員を対象としたプログラムと,「児童の性意識や行動の変容」を目指した児童を対象としたプログラムから構成される性暴力予防プログラムを開発・実施し,その有効性について検討する。
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研究実績の概要 |
まず,2022年度に実施した5~8歳の児童を対象とした性暴力予防プログラムの効果検証として収集した児童および職員の事前・事後・フォローアップ調査のデータ整理を行い,分析した。その結果,児童のプライベートゾーンやタッチの知識はプログラム前より後に高まっていたが,フォローアップ調査では維持されていないことが明らかになった。性加害に遭う危険性が高い場面での行動については効果が示されなかった。職員による児童の行動評価については,不適応行動は事前より事後に有意に低下し,適応行動では事前より事後が有意に高いという結果が示された。この結果については,2023年度の日本発達心理学会第35回大会のラウンドテーブルにおいて報告した。 次に,5か所の児童養護施設に入所している9~12歳を対象とした性暴力予防プログラムを実施し,効果検証として児童および職員の事前調査と事後調査を行った。データ分析の結果,ジェンダー観がステレオタイプ的でない方向に変化し,暴力の認識が向上するなどの効果が示された。しかし,プライベートゾーンやアサーションには変化が示されなかった。職員による児童の行動評価については,不適応行動が事後に減る傾向が示されたが,適応行動には変化はなかった。以上の結果についても,2023年度の日本発達心理学会第35回大会のラウンドテーブルにおいて報告した。 さらに,2021年度に5か所の児童養護施設職員を対象として行った調査結果について論文としてまとめ投稿した。また,2021年度から2022年度前半にかけて実施した児童養護施設の職員と児童の性問題について話し合う会についての質問紙調査結果についても論文としてまとめ投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の影響でプログラムの実施時期が半年から一年くらい遅れたが,2023年度末までに,5~8歳の児童を対象としたプログラムの実施および効果検証(事前・事後・フォローアップ調査)と,職員の対象とした児童の行動評価調査はほぼ完了した。また,9~12歳の児童を対象としたプログラムの実施および効果検証(事前・事後調査)も終了している。
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今後の研究の推進方策 |
5~8歳を対象としたプログラムを2024年3月に実施した施設が1か所あるため,このフォローアップ調査を実施する予定である。また,9~12歳を対象としたプログラムについても,フォローアップ調査を実施する予定である。さらに,9~12歳を対象とした対照群の調査も実施することになっている。5か所の児童養護施設で実施してきたプログラムの効果検証データが全て揃ったら,それらのデータを整理・分析し,プログラムの有効性や課題について検討する。そして,それらの結果を各施設にフィードバックして,施設における性暴力予防プログラムの課題と効果について施設職員と話し合う時間をもつ。分析結果については2024年度の日本発達心理学会で報告する予定である。
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