研究課題/領域番号 |
21K03062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高橋 恵子 弘前大学, 保健管理センター, 講師 (70281904)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ストレスマネジメント / 健康教育 / 自律訓練法 / 場の呼応 / 体験的理解 / コロナ禍 / 心拍リズムの調和 / 呼吸 / オンライン/対面 / 身体性 / 場の力 / 感情ストレスマネジメント / レジリエンス / コンパッション / ピア / PTG(心的外傷後成長) |
研究開始時の研究の概要 |
若い世代の自殺率の高さは先進国では他に類をみない。コロナ禍の大学生は仲間と過ごすキャンパスライフを失いメンタルヘルスが課題となった。コンパッションは自分自身や他者と共にいる力を示し苦難を乗り越える体験やつながりから育まれる。身近な人の病や死、痛みや悲しみを経験した今だからこそ若者の生きる力を育む教育的支援が必要とされている。本研究ではコロナ禍に寄り添う健康支援としてストレスを成長に変えるPTG(心的外傷後成長)と心の弾力性を高めるレジリエンスについて究明する。特に心拍リズムの調和による感情ストレスマネジメントにより自身への思いやりを育む「心と体の対話」と、体験者相互の波及効果について検証する。
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研究実績の概要 |
ストレス反応への心身の調整能力(レジリエンス)を高める目的で、ピアで支える集団自律訓練法(Autogenic Training: AT)を活用したストレスマネジメント教育について検討した。受講生71名を対象に週1回の健康教育を継続的に実施した。対象者はアンケートに協力した68名 (男性29名,女性39名)で、平均年齢は18.7±1.27才であった。まずはじめに心身相関に関する心理教育を行い、呼吸法や筋弛緩法でからだを調えた後、集団ATを導入した。実施期間は令和5年4月~7月であった。ホームワークとして自宅等でも練習を続け、体験内容を記録用紙にまとめ仲間同士で体験を共有した。 およそ3ヶ月間の練習期間の後、AT前後における身体的なボディリソースとしての安心感、および日常生活のストレスイベントの緊張度をSUD(主観的苦痛スケール:弱1点~強10点)で評定し、変化値について分析した。AT習得度が高かった群では、ボディリソースとしての安心感が有意に高く、また高体感群は、低体感群に比べてSUD値が有意に低下した。 同じ場を共有し息を合わせるピアで支える集団ATは、身体感覚による一体感を促進し、仲間と呼応する“場”の形成に寄与した。さらにATによる受動的注意集中状態は、仲間と呼吸を合わせるマインドフルネスな身体感覚を賦活した。パンデミック以降、心身の健康管理が課題になる中、今後も学生のメンタルヘルスの資質向上に向けた検討を続ける必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はアフターコロナのメンタルヘルスなど日常業務の増加に加え、研究者自身の家族介護の問題など研究時間が十分にとりにくい状況があった。研究協力を依頼し、ケースを蓄積しながら、更なる検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
AT体験を共有する本年度の健康教育では、呼吸の同調、心拍リズムの調和を通した身体性の回復が課題とされた。知識として「知っている」だけでは健康行動に結びつきにくいことから、日常場面における(からだの)動きが伴う行動化、習慣化を促す健康支援が求められる。情報化やデジタル化が進む学生生活において、身体性を基盤としたメンタルヘルス教育の意義について、ピアによる場の力を高める検討を進める。
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