研究課題/領域番号 |
21K03063
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大谷 保和 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10399470)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 依存症 / 再発 / 潜在的態度 / 再使用 |
研究開始時の研究の概要 |
物質依存症は再発率(物質再使用率)の高さが大きな問題だが,依存症者の否認傾向もありリスクの正確な把握は難しい。社会認知的手法を用いて測定した依存物質への潜在的な選好度が物質再使用の予測に有用であるという知見を踏まえ、本研究では以下の3点を扱う。①潜在的な依存物質選好度がどのような条件下で最も依存物質使用行動と関連するかについての詳細なメカニズムを検討する。②潜在的な依存物質選好度や再発リスク尺度等を組み合わせ、アルコール依存症の臨床場面での再発予測に最も効果的な評価系を確立する。③評価系を現場に適応する際、測定結果を生かしながら依存症者を治療に効果的に動機づけるためのマニュアルを開発する。
|
研究実績の概要 |
・潜在的態度測定による依存物質(アルコール)への態度と飲酒行動との関連を検討するための新たな調査計画を立案し、現在実施中である。具体的には、下記2点を目的とした。①IAT(Implicit association test)およびAMP(Affect misattribution procedure)の復数の潜在的態度測定を用いて、どちらの潜在的態度測定法が、よりアルコール飲酒行動と密接に関連するか検討する。②ワーキングメモリを測定する課題を合わせて実施し、ワーキングメモリの潜在的態度測定と飲酒行動との関連の調整効果を検討する。研究計画は所属研究機関の倫理委員会から承認を得た。また潜在的態度測定プログラムの微調整を行いながら、リサーチ会社のモニター(健常成人で飲酒量について何らかの問題を自覚している者とは別個に、臨床群として飲酒問題で通院歴のある者への調査も計画した)を対象としたオンライン調査の予算規模や具体的な実施方法について検討している。アウトカムは潜在的指標測定1週間後の飲酒量および飲酒頻度、仮報酬としてのアルコール選択を設定、参加者はそれぞれ100人程度を予定している。 ・自身が開発した自記式依存症評価尺度について、適用依頼のあった他の依存症関連の共同研究(アルコール依存症治療薬効果検証RCT、薬物依存症治療薬効果検証RCT、薬物依存症への短期介入効果検証RCT、薬物事犯者への再犯予防プログラムの効果測定研究)への専門知識提供・統計解析および論文執筆サポートを行いつつ、依存症再発リスクについての知見を積み重ねた。 ・台湾の依存症研究者より刺激薬物再発リスク尺度(SRRS)・アルコール再飲酒リスク尺度の中国語版を作成したいとの申し出があり、共同研究者として解析と論文執筆上の専門的な助言を行った。双方の中国語版尺度の標準化論文はPreprintで公開される運びとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で依存症患者を対象とした調査が難しい状況にある。また当初計画内では予期していなかった他業務(大学組織改変に伴う新システム整備、他複数の研究教育プロジェクトの実務担当者としての業務など)の負担増により療養が必要な過労状態に陥り、当該研究の進行が遅延気味である。
|
今後の研究の推進方策 |
医療機関に通院する依存症患者への調査は実施の困難さ等により見合わせ、調査会社のモニターのうち、健常成人飲酒者および飲酒問題で通院経験のある者を対象として、潜在的態度測定と飲酒行動の関連を検討するオンライン調査を実施し、新たな知見を得、学会等で発表する。
|