研究課題/領域番号 |
21K03071
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
森本 幸子 東北医科薬科大学, 教養教育センター, 准教授 (10398539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | SNS / 攻撃行動 / 対人ストレスイベント / 年代 / ストレス / 規範意識 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、エスカレートするソーシャルネットワーキングシステム(以下SNS)上での攻撃行動が社会問題となっている。これらは重要な課題であるにも関わらず、その生起要因については、あまり明確なことはわかっていない。先行研究では、匿名化やパーソナリティ、現実場面でのストレスなどがSNS上での攻撃行動に関連することは指摘されているが、その生起に関与しているのかどうかを長期的に検討した研究は行われていない。 そこで本研究では、ストレッサーや規範意識がSNS上での攻撃行動に与える影響を、年齢や性別の視点から長期的に検討することを目的とし、9カ月にわたるオンライン調査を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、SNS上での攻撃行動が促進される要因を、これまであまり検討されていないストレッサーや年齢の点から検討することを目的として、令和3年12月と令和4年2月にオンライン調査を実施した。令和4年度は、これらのデータ分析を行った。 まず、第1回調査時点での、SNS上での攻撃行動と、年齢および性別との関連を検討した。10代から70代までの750名分のデータを分析対象とした。SNS上での攻撃行動を目的変数、SNS利用時間やSNS規範意識などを説明変数として、年齢と性別ごとに重回帰分析を行った。その結果、多くの年齢層において対人ストレスイベントがSNS上での攻撃行動を予測することがわかった。また、特に50代以上の女性では、SNSの利用時間や投稿時間の長さがSNS上での攻撃行動を予測していた。 続いて、2回のオンライン調査に参加した415名を対象として、第1回目の調査時点でのSNSの利用時間等が、第2回目の調査時点でのSNS上での攻撃行動を予測するかどうか検討した。第1回目の調査時点でのSNS上での攻撃行動を共変量とし、第2回目の調査時点のSNS上での攻撃行動を目的変数、第1回目の調査時点のSNS利用時間、SNS投稿時間、SNS規範意識、対人ストレスイベントを説明変数として階層的重回帰分析を行った。その結果、SNS投稿時間と対人ストレスイベントのみ、第2回目の調査時点におけるSNS上での攻撃行動を予測した。つまり、SNS上での攻撃行動は、SNSへの投稿時間が長い人ほど多く、また、対人ストレスイベントを多く経験している人ほど多いことがわかった。以上の結果より、本研究からは、SNS上での攻撃行動は、対人ストレスイベントを多く経験し、ストレス発散的に行われている可能性が示唆された。 得られた成果は、日本心理学会第58回大会および、日本パーソナリティ心理学会第31回大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査データの分析については、概ね計画通りに進んでいる。しかし、令和4年度に追加調査を実施する予定であったが、今回の調査結果を受けて、SNS上での攻撃行動を促進するさらなる要因等を加えて検討する必要が生じたため、その準備に時間がとられ、追加調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はすでに得られている研究成果を学術論文として発表する予定である。加えて、今回の調査結果から明らかとなった対人ストレスイベントとSNS上での攻撃行動との関連に、先行研究で攻撃行動を促進する要因として指摘されているパーソナリティ要因を加えて、再度オンライン調査を実施する。
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