研究課題/領域番号 |
21K03072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
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研究分担者 |
佐藤 拓 明星大学, 心理学部, 准教授 (10577828)
西浦 和樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (40331863)
川崎 弥生 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (80846105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | エピソード思考 / うつ傾向 / 時間的距離 / 出来事の主体 / 主観評価 / 転換的語り直し / 自伝的記憶 / エピソード未来思考 / 心理的健康 / うつ / 希望感 / 抑うつ / 希望 |
研究開始時の研究の概要 |
[全体構想] 本研究では、「エピソード未来思考」の概括化によって生じた機能不全が引き起こす、将来への「希望感」の喪失という特性に着目し、新たな認知的メカニズムに基づいて「うつ」の発生を予測する基準を策定する。また、うつへの新たな介入手法としての「転換的語り直し」の心理的回復効果を検証する。 [具体的な目的] (1) エピソード未来思考の概括化がうつ症状の重篤度を予測するかを特定する。(2) エピソード未来思考が将来への希望感に与える影響を検証する。(3) 転換的語り直しが概括化したエピソード未来思考の機能を良く改善する手段であることを突き止め、うつに対する介入方法の確立を図る。
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研究実績の概要 |
池田ら(2022)では,エピソード未来思考とうつ傾向との直接的な関係は見いだせなかった。そこで,池田ら(2023)では,エピソード過去記憶(もしくは未来思考)を生成する際に,時間軸,時間的距離,主体対象の要因が記憶の質に与える影響を検討し,いくつかの要因がうつの程度に影響することを確認した。 しかしながら,一般的な記憶の概括化は,自伝的記憶テスト(実験者によるプロトコルの客観的分類)が用いられる。主観評価と客観的指標が一致するかは慎重に判断せねばならないとする意見もあるが(松本, 2022),池田ら(2023)の結果が記憶の概括化を十分に捉えることができているのならば,従来の分類基準と一致した結果が見出される可能性がある。 また,池田ら(2023)の実験結果は大学生のみのサンプルから得られた結果となっており,参加者の多様性が限定されていることに問題がある。青年期以下の若年者とそれ以上の年齢との間の特異性の反応には異質性が存在する可能性が指摘されるため,概括反応には年齢や集団属性の影響を考慮せねばならない。 そこで,本研究では,オンライン実験を用いて社会人サンプルを中心に改訂エピソード思考テストおよび自伝的記憶検査を並行して実施し,改訂エピソード思考テストの妥当性の検証を行った。実験においては,思考テストの「30秒思考フェーズ」を「60秒程度の筆記フェーズ」に変更した。思考テスト終了後,参加者は,日本語版自己記入式簡易うつ症状尺度,Re-TALE(Ikeda et al., 2023)の認知転換項目,楽観性尺度に回答した。実験は,Lab.jsによって作成されたプログラムを,Open labのサーバーから実施するよう計画された。参加者の確保は,多くのオンラインの心理学実験で活用実績のあるLancersを利用した。100名程度のデータが取得され,現在,データの分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に変更した研究計画を実施するにあたり,サンプルの確保に従来とは異なる手法を用いる必要が生じた。そこで,従来の対面による実験手法から,オンライン実験による非対面の実験手法へと変更を行なった。プログラム作成における基本的な理解から,オンライン調査会社を利用した参加者へのプロモーションの倫理的問題まで,副次的な問題に対処する必要が生じ,当初の予定と比較して実験の開始に若干の遅れが生じた。しかしながら,データの取得は年度内に終了したことから,おおよその目的は達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本来は,2023年度が最終年となっていたが,予定していた実験の遅れ,および,分担研究者による関連論文執筆の追加予定が発生した。そこで,一年間の研究延長を申請し,受理されるに至った。2024年度に実験の結果をまとめ,関連学会にて報告を行う。また,これまでの研究成果をまとめた総合考察を行うとともに,投稿論文の執筆を合わせて実施する。
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