研究課題/領域番号 |
21K03080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
守谷 順 関西大学, 社会学部, 教授 (70707562)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 社交不安 / 妨害刺激 / 視覚探索 / 再認記憶 / 心的イメージ / ワーキングメモリ / 妨害情報 / 顔表情 / 情報収集 / 視覚的注意 / 他者評価 / 仮想現実 |
研究開始時の研究の概要 |
他者からの評価を恐れる社交不安者は,誰かと話していても,他の人物の存在が気になり,注意を向けている可能性がある。しかし,本来自分の周囲に注意を向け自分が置かれた状況を理解することは,他者からの期待に応える際に必要な適応的な行為と考えられる。そこで,基礎的な実験としては,複数の人物の顔を提示して,実際に社交不安者が様々な人物の顔を注意し気にしているか明らかにする。そのうえで,より現実の対人場面に近い仮想空間を用意し,その状況でも社交不安者は多くの人物に注意を向けているか,そしてそのことが他者との交流に肯定的な影響をもたらすか検討する。
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研究実績の概要 |
他者からの否定的な評価を恐れる社交不安者の特徴として,過度な情報収集があげられる。これは,課題を実施する際に不必要な情報(妨害刺激)にまで注意を向け,記憶することをここでは指す。この特徴は多くの先行研究で指摘されてはいたものの,測定する課題も十分に確立されておらず,検討されていなかった。 本年度は課題を確立するため,一般の対象者にWeb実験を行った。参加者は,最初に視覚探索課題を行った。課題では,パソコン画面にターゲット刺激の他,妨害刺激が複数提示される。参加者には,ターゲットをすばやく見つけるように教示した。視覚探索課題の終了後,妨害刺激を覚えているか再認記憶課題を実施した。一連の課題から,視覚探索課題で妨害刺激に注意を向け,記憶してしまうか検討した。4つの実験で,のべ300名以上が実験に参加した。結果,視覚探索課題において妨害刺激に注意を向ける傾向には個人差があり,妨害刺激に注意を向けていた者ほど,よく記憶していることが明らかとなった。 今回の結果から,一連の実験課題を用いることで過度な情報収集の個人差について明らかにすることができることが確認された。つまり妨害刺激へ注意を向け,記憶する傾向について検討することが可能である。この課題を社交不安者に応用することで,社交不安の過度な情報収集を実験的に示すことが可能となった。 さらに,今後必要になる注意の誘導方法についても検討した。上記の通り,社交不安者は妨害刺激に注意を向けてしまう可能性があるため,自ら注意を制御できるようになることが必要となる。その方法として心的イメージを用いた注意誘導が考えられる。人はイメージした対象に自然と目を向けることが知られている。そこで,イメージ対象を操作することで注意も操作できるか4つの実験,のべ240名程度を対象に実験を実施した結果,おおむね予想通りイメージで注意が誘導されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社交不安の過度な情報収集(妨害刺激の処理)について検討可能な課題を確立することが目的であった。十分な参加者数で複数回実験を行い,同様の結果が得られたため,本課題で過度な情報収集を検討することが可能であることが確認された。そのため,実験は順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,今回確立された課題を社交不安者に実施し,過度な情報収集が見られるか検討する。さらに刺激を変えたり,実験状況を変えることで(例えば,不安を喚起させる状況),パフォーマンスが変化するか検討し,過度な情報収集の詳細について明らかにしていく。 Web実験を用いることで,社会状況に左右されず,短期間で多くの実験参加者を募ることが可能となった。次年度以降もこの手法を用いることで,問題なく研究が進められると考えらえる。
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