研究課題/領域番号 |
21K03081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 文学部, 准教授 (00454918)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 睡眠効率 / 睡眠習慣 / 夢 / 楽観性 / 睡眠習慣の乱れ / 不規則型睡眠 / 唾液中バイオロジカルマーカー / アロスタティック負荷 / 睡眠の位相・質・量 / ストレス / フィールド・実験的研究 / 介入実践 |
研究開始時の研究の概要 |
大学生を対象にして心身の健康状態に対する睡眠の位相・質・量の機能や役割を明らかにするために,以下のことを検討する。 日常生活場面において主観的に評価した睡眠の位相・質・量と心身の健康状態やストレスの自覚,心理社会的要因や生物学的機能との関連性を検討する(研究1)。次に,フィールド調査にて位相・質・量の3次元評価に基づく睡眠型を分類し,実験室場面での急性ストレスに対する心理生物学的ストレス反応パターンが睡眠型によって異なることを検証する(研究2)。さらに,3次元評価に基づく睡眠型に着目した介入によって,睡眠習慣が改善されると同時に心身の健康状態も改善することを客観的に検証する(研究3)。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,位相・質・量がそれぞれ夢評価と主観的・客観的に評価した睡眠の質および楽観性がどのように関連するのかについて検討した。 (研究方法)対象者:40名(男性20名,女性20名,平均年齢20.8±1.2歳)を対象とした。手続き:習慣的に使用している自宅の寝具にスリープスキャンを設置し,3夜間の測定を行うと同時に,起床時に夢特性評定尺度への記入,そして,測定期間終了時までに3次元睡眠尺度(3DSS),楽観性・悲観性尺度,夢特性評定尺度(Dream Property Scale; DP 尺度)の各質問紙への記入を求めた。客観的睡眠の測定は,スリープスキャン(タニタ社製 SL-501)を用いた。寝具の下に体動センサシートを敷くだけで,睡眠時間,入眠潜時,睡眠効率,中途覚醒時間,睡眠時における30秒間毎の心拍数,呼吸数,体動数を簡便に測定ができるものである。 (結果と考察)睡眠の質と夢の内容について相関分析を行った結果,スリープスキャンによって客観的に評価した入眠時間とDP尺度の奇異性得点 (r =.401,p <.001) および評価得点 (r =-.316,p=.002)に正の相関が認められた。さらに,3DSSの量得点と活動性得点に正の相関(r =.284,p=.003),位相得点と奇異性得点の間に負の相関が認められた(r =-.509,p <.001) 。就寝時間が遅いほど日常生活では想像のできないような夢や不快・悪い夢を見ているということが示唆された。一方,睡眠リズムが整っている学生ほど賑やかで楽しい夢を見ていることが示唆された。 楽観性と夢の内容についての相関分析を行った結果,楽観性の得点とDP尺度の奇異性得点との間に弱い負の相関が認められた(r =-.298,p =.003)。楽観性の高い学生ほど心身の負担が少ない夢を見る傾向であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に従って,睡眠を主観的・客観的に評価し,大学生の睡眠習慣に関する調査はできたものの,covid-19の影響で対面によるバイオマーカーの採取及び測定が限定されてしまった。そのため,バイオマーカーと質問紙との関連性に関する検証が完了していない。以上のことから,睡眠の位相・質・量と生物心理社会的要因との関連性に関する知見の集約がやや遅れている。 次年度も研究計画通りに引き続き,睡眠の位相・質・量と生物心理社会的要因との関連性(フィールド・実験的研究)に関する検討を継続する予定であり,遅れは充分取り戻すことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も引き続き,睡眠の位相・質・量と生物心理社会的要因との関連性(研究1)に関する検証を行い完了させる予定である。加えて,睡眠の位相・質・量が急性ストレスを負荷した際の心理生物学的ストレス反応に及ぼす影響(研究2:フィールド-実験的研究)に関する検証を行う。 対象者:3DSSの得点に基づいて良好型,不規則型,質低下型,短眠型に分類し,各25名ずつ選抜する。 手続き:客観的睡眠評価の影響性も同時に検討するために,スリープスキャンを渡し,1週間の睡眠効率を客観的,主観的に測定する。急性ストレス負荷実験は睡眠測定が終了した当日に行う。実験室に入室した対象者には,15分間の順応期後,メンタルストレステスト(Stroop干渉課題)を15分間負荷し30分間の回復期を設定し実験を終了する。課題前後と回復期(15分経過時と30分経過時)に唾液採取とストレス状態質問紙(岡村ら,2004)への記入を求める。実験中は連続血行動態を測定するとともに,唾液中バイオマーカーを定量する。 結果の分析:睡眠の位相・質・量のそれぞれがStroop干渉課題に対する心理生物学的ストレス反応や作業成績にどのように反映されるか,分散分析,共分散構造分析などの多変量解析を行い,メカニズムにまで踏み込んで検討する。
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