研究課題/領域番号 |
21K03092
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
|
研究分担者 |
高口 僚太朗 長岡技術科学大学, 男女共同参画推進室, 主任UEA兼特任講師 (80824341)
菊地 創 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90965352)
番園 寛也 中央大学, ダイバーシティセンター, 嘱託職員 (10985485)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 発達障害 / 大学生 / 自己理解 / 修学支援 / ピア・サポート / 伴走型支援 / 障害の社会モデル / 学修支援 / ピアサポート / 支援一体型調査研究 / 面接調査 / 未診断 / キャンパスソーシャルワーカー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中央大学多摩キャンパスにおいてキャンパスソーシャルワーカー(以下CSW)が既に関与している100名以上の発達障害特性を有する大学生(未診断者を多数含む)と、2021年度から支援対象となる大学生を対象に、診断の有無に係わらず多様な支援を展開し、同時並行して面接調査を継続することにより、自己理解(障害受容を含む)の過程と、そこに支援策がどのように関与するのかを明らかにする。未診断者と既診断者に同一の支援策を用意した上で、面談で明らかになった本人の自己理解の程度に応じた支援を行う。未診断者の自己理解の過程についての質的研究を行いつつ、既診断者や健常者との比較を量的・時間的に行う。
|
研究実績の概要 |
中央大学で各学部に配置されているキャンパスソーシャルワーカーによる修学支援を受けている学生、および在学中に支援を受け卒業した人を対象とした面接調査を継続した。2023年度までで実数で23人から協力が得られ、2023年度は24回の面接調査を行った(一部の人には年度内に2回の面接調査を行った)。 さらに、中央大学内で活動している当事者によりピア・サポートグループへの支援的介入による調査、複数大学の一般学生を対象にした質問紙による量的調査も実施した。 得られた成果の概要は以下のとおりである。発達障害のある学生の自己理解を深化・発展させうる環境調整的な支援体制とは、支援のキーパーソンが個々の学生の特性や心理面でのアセスメントを行った上で、具体的な配慮内容を教員や事務職員との連携の上で決定し、教員や事務職員を含む支援者が学生ひとり一人への学びへの配慮を示すことができるものである。その体制のもとで学生は試行錯誤を重ねることになるが、その過程に寄り添う伴走者がいることも必要な条件と思われた。また、支援者からの支援とは別に、当事者によるピア・サポートの重要性も示された。障害の社会モデルと自己理解を促す支援はけっして矛盾するものではなく、支援の両輪として機能することも示された。傍証として、ドイツ・ベルリンでの当事者家族からの聞き取り調査で、自閉症児に対する社会的支援における行政のソーシャルワーカーが伴走型支援を提供していく中で当事者家族の障害理解・受容が進むことが明らかになった。 得られた成果は、日本ピアサポート学会第21回大会(高口ら)、日本LD学会第32回大会(番園ら)、第61回全国学生相談研修会(山科)、日本健康心理学会第36回大会(菊地ら)、第45回全国大学メンタルヘルス学会総会 (山科ら)で発表した。これらは4本の投稿論文としてまとめられ、掲載、掲載決定、査読中といった状況にある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
確かな研究成果が得られ、その内容が学会発表および投稿論文という形で公表されている。特に、今年度だけで査読対象の論文4本を投稿し、最終年度における学会発表および論文投稿が準備されている。研究成果の書籍化についても、出版社と交渉中である。さらに、4年生や卒業生を対象とした面接調査により、就労移行時における課題が浮かび上がり、これは次の研究テーマとなることが明確になっている。
|
今後の研究の推進方策 |
計画の大きな変更はない。就労移行場面における課題に関する調査面接を、少数の学生・卒業生に行い、予備的報告を行う。継続している量的調査研究においても学会発表および論文投稿を行う。 本研究の成果に基づいて、新たな研究の展開を準備する。
|