研究課題/領域番号 |
21K03106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹田 伸也 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00441569)
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研究分担者 |
福崎 俊貴 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80838764)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 介護職 / 職場の人間関係 / 心理的苦痛 / 離職意図 / 高齢者介護事業所 / 尺度開発 / 信頼性 / 妥当性 / 介護職員 / 人間関係 / 職場 / ストレス / 認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者介護施設における人手不足は深刻であり、介護職員の離職は残された職員の負担を増大させ、結果として利用者への介護サービスの質に影響を及ぼすことが懸念されている。そのため、離職理由として最も多い職場の人間関係を改善する方策を検討することは、介護職員の離職を防ぎ、介護の質を高めるうえでも重要な課題である。そこで本研究では、以下の2点を実施する。①離職意思を有しストレス反応の高い介護職員の職場での人間関係の問題の特徴を明らかにする。②それらの特徴を考慮し、認知行動療法を援用したオンデマンド教材による人間関係改善プログラムを開発し、その有効性について検討する。
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研究実績の概要 |
今年度は、主に以下に示す二点の検討を行った。 一点目は、高齢者介護事業所に勤務する介護職を対象に、職場の人間関係と心理的苦痛との関連を検討した。先行研究(Takeda & Fukuzaki, 2023)で使用されたデータの二次解析を実施し、介護職406名を対象として解析を行った。その結果、介護職の心理的苦痛の有症率は53.2%であった。職場の人間関係の問題を抱えている介護職員は抱えていない介護職員に比べ心理的苦痛を抱える可能性が5.95倍増加した。人間関係改善の意向を持つ者は持たない者に比べて心理的苦痛を抱える割合が0.33倍に低下した。本研究により、高齢者介護事業所で働く介護職にとって、職場の人間関係と心理的苦痛との間に強い関連があることが明らかになった。 二点目は、昨年度に開発した介護職の職場の人間関係の悩み尺度(WIPS)を用いて、職場の人間関係と心理的苦痛、離職意図との関連について検討を進めている。昨年度までの研究で、職場の人間関係に問題を抱えている介護職員は、問題を抱えていない介護職員より離職意向が高いことが示された。一点目で示した研究結果を考慮すると、以下のリサーチクエスチョンが成り立つ。それは、職場の人間関係のうち、どの種類の問題が直接離職意図に影響を与え、どの種類が心理的苦痛を経由して離職意図に影響を及ぼすかという点である。この点が明らかになれば、よりターゲットをしぼった職場の人間関係を改善するプログラムを作成することが可能となる。そこで、今年度は高齢者介護事業所に勤める介護職に質問紙調査を実施し、現在その解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、高齢者介護事業所に勤める介護職を対象とし、職場の人間関係と心理的苦痛、離職意図の関連を検討し、職場の人間関係の問題を評価する尺度を開発したうえで、それらの知見に基づく職場の人間関係を改善するオンデマンド・プログラムを開発することである。そのための基礎的な結果が集まり、解析も順調に進んだので、このように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず今年度に実施した質問紙調査の解析を行い、職場の人間関係の問題と離職意図または心理的苦痛の関連を検討する。そのうえで、これまでの研究によって集積されたデータに基づき、介護職の職場の人間関係を改善するためのオンデマンド・プログラムを開発することを、次年度の大きな課題とする。同時に、開発したオンデマンド・プログラムの効果を検証するための、協力高齢者介護事業所の開拓を進め、研究の円滑な推進に努めたい。
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