研究課題/領域番号 |
21K03110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2023) 公立小松大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
鋤柄 増根 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 名誉教授 (80148155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 受検態度 / MMPI-3日本版 / ディープラーニング / 妥当性尺度 / 価値観 / パーソナリティ検査 / MMPI-3 / 反応の偏り / 偽装傾向 / 社会的望ましさ |
研究開始時の研究の概要 |
MMPI-3における,偽装傾向と社会的望ましさを検出・補正する方法を深層学習によって開発する。MMPI-3における妥当でない回答であるOver-ReportingとUnder-Reportingの検出方法を開発する。規則の学習用として利用するOver-ReportingあるいはUnder-Reportingの受検態度で回答したデータを収集する。社会的望ましさに関しては,深層学習が出力する評価値による補正方法を開発する。
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研究実績の概要 |
MMPI-3日本版における偽装的な受検態度を検出する妥当性尺度が有効に機能するか検討する。良く見せようとする受検態度(Under-Reporting: UR)で受検した101名(男38,女63),悪く見せようとする受検態度(Over-Reporting: OR)の101名(男34,女67),年齢は18から33歳(中央値と最頻値は共に20歳),さらに,標準の教示下で受検した健常群(1236名)と臨床群(284名)として,MMPI-3日本版の標準化集団を利用した。 その結果,標準の教示下で回答した健常群や臨床群と比べると,悪く見せかけようとした群ではOver-Reportingを検出する尺度(F, Fp, Fs, FBS, RBS)のTスコアが上昇しており,良く見せようとした群ではUnder-Reportingを検出する尺度(L, K)のTスコアが上昇しており,これらの妥当性尺度が機能することが明らかになった。 臨床尺度の高次(HO)尺度,再構成臨床(RC)尺度,特定領域の問題(SP)尺度,パーソナリティ精神病理5(PSY-5)尺度におけるTスコアは,OR群はいずれも70前後と上昇しており,自分の持つ問題を過剰に報告することで悪く見せようとしていることが分かる。 UR群では逆にTスコアは50より低くなっているが,自信過剰(SFI)の平均Tスコアが70とかなり高く,支配性(DOM)の平均Tスコアが57,攻撃傾向(AGGR)が54とやや高くなっているのが特徴的である。自分の文化の価値観に照らして良く見せかける受検態度での回答がなされる。したがって,人より自信があり有能であると自分を評価し,他者を支配下においてリーダーシップをとるするような特性が望ましいとする価値観が大学生の中にあることが分かる。 また,ディープラーニング用のソフトは作製途中であり,上記の受検態度が検出可能か検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Over-Reportingの受検態度(偽装傾向)で回答する群とUnder-Reportingで回答する群に,MMPI-3日本版を実施し,データ収集は完了している。結果は教育心理学会で発表予定である。また,ディープラーニング用のソフトの開発は,やや遅れているが順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ディプラーニングのソフトは,上記に示した良く見せようとする受検態度(Under-Reporting: UR)で受検した101名と,悪く見せようとする受検態度(Over-Reporting: OR)の101名のデータに適用して,その有用性を検討する。さらに,臨床群などにも適用して検討をしていく。基本的に順調に進んでいるので,特別に推進方法として記載すること現状ではない。
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