研究課題/領域番号 |
21K03116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
原口 彩子 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10450587)
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研究分担者 |
杉崎 弘周 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (30612741)
佐藤 洋 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40882999)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自殺予防 / 心の支え / 学校教育 / 簡易版 |
研究開始時の研究の概要 |
10代の自殺予防対策は国家的な喫緊課題だが、学校教育の中に効果的に組み込む手立ては十分とはいえない。 申請者は、この点を解決する方法として「心の支えイメージマップ」を開発した。若者たちの見えにくくなっている支える者・ものの存在を“見える化”し、若者自身が心の内を発見し物語る描画ツールである。 本研究は、このイメージマップが自殺リスクを減じさせるか、実際の学校教育に導入可能かについて検証を行うのが目的である。 イメージマップの有効性が証明されれば、利用が簡便で、老若男女、異文化間の制約を受けづらいツールなだけに、中高年の自殺予防、国際的汎用化、Web上での公開など、幅広い活用が期待できる。
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研究実績の概要 |
申請者が開発した「心の支えイメージマップ」が自殺予防に有効であり、縦断的・横断的に自殺予防研究にも寄与すること、そのうえで広く学校教育のプログラムの中に組み込まれることを目的とする。 1年目は、イメージマップを使用した対話が自殺リスクを下げるかどうかを検証、2年目は、イメージマップで使用する記号を任意のものから固有のものに改変し、標準的な活用方法を明示した形で学校教育へ導入できるよう、簡易版を作成することが計画されていた。 しかし、いずれもコロナ禍により、対面での定期的な面接が保証されないため、ひとまず質問紙による調査(大学生約500名)のみを実施した。このデータを使用して標準的な活用方法を明示した形で学校教育へ導入できるよう、簡易版を作成している。家族や友人などの“心の支え対象”をイメージするものとして採用された図形を整理し、頻出図形を同定した(例:自分は〇、家族は□など)。任意の図形を使って作成したイメージマップと指定された図形を使って作成したイメージマップとを比較し、イメージのしやすさ、描きやすさ、語りの時間などに差が出ないかどうかを現在検証している。予想される結果は、図形を固有化した簡易版イメージマップは、任意の図形を用いたイメージマップと対話の質量において有意差は生まれないことで、これをもって簡易版の有効性が実証されたとみなす。 さらに、定期的な個人面談ができないかわりに、面接者となる教員や民間の支援者に対する面接講習を実施した。これは、学校導入の際に教員に対して行う面接指導を想定している。あらかじめ許可を得た学生と研究者、および研究者のスーパーバイザーとの面談を公開し、イメージマップの適切な活用法を話し合い、面接マニュアルを改訂した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1年目、2年目ともコロナ禍により、学生への定期的な対面面接が保証されず、面談の中断は、研究成果に大きく影響することから、質問紙調査のみにとどめたことが遅れの大きな要因である。イメージマップを使用した対話が自殺リスクを下げるかどうかを検証するためには、60名ほどの学生への1か月ごとのイメージマップの作成と面談が必要であり、面接者は学外にも依頼しているため、コロナによる制限がなくなる2023年度に実施するよう、予定を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、イメージマップを使用した対話が自殺リスクを下げるかどうかを検証するべく、自殺高リスク群と低リスク群のマップの特徴を分析する。高リスク群の中から無作為で抽出した学生を二分し、1か月ごとにイメージマップ作成と対話を繰り返す群と何もしない群で自殺念慮スコアなどに差が出るかどうかを検証する。 この2年、研究自体は予定通りにならないことばかりであったが、協力スタッフとのミーティングを重ね、学校教育現場との関係を築いてきたため、学校教育に自殺予防プログラムの一部として組み込む体制は作ることができた。簡易版が完成したら直ちに小中学校への導入を進め、特別活動や道徳、あるいは朝夕の学級活動等で試験的に実施していく。 また、自殺リスクの高い児童生徒の抽出可能性と、イメージマップを媒介にした教員との対話の実効性を質的分析を含めて検討する。さまざまな教育現場などで活用されるべく、学会発表やインターネットでのイメージマップの公開を進める。 これらを同時並行で進行しつつ、一年延長の手続きを実施し、心の支えイメージアップの普及につなげるべく、学会発表、論文執筆にも力を入れたい。
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