研究課題/領域番号 |
21K03130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
源 健宏 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (40611306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ワーキングメモリ / 前頭葉 / 行動制御 / 個人差 / 脳波 / 機械学習 / 時間周波数解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,近年注目を浴び始めている包括的な計測法を用いて個々人のワーキングメモリ機能を従来よりも高い精度で推定する。さらには,前頭葉機能と関係する複数の脳波成分を判別モデルに組み込みこむことで,個々人のワーキングメモリ機能を読み解くことを目指す。最終的には,再現性の高いワーキングメモリの判別モデルを提案し,教育や臨床分野などの関連諸領域への波及にもつなげたい。本研究の成果により,絡み合う神経集団活動の時間的成分が紐解かれ,高度な知性を支える脳の仕組みの解明に近づくことが期待される。
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研究実績の概要 |
ワーキングメモリの実行系機能は,前頭葉のはたらきに強く依存していることが知られている。中でも,前頭前野外側部と前部帯状回が,ワーキングメモリの実行系機能と関わることが繰り返し報告されている。令和4年度は,前部帯状回のはたらきに関する研究をまとめた論文をNeuroscience誌に掲載した。 具体的には,認知負荷の高い課題に取り組む前に,前部帯状回が賦活し,この領域が,運動領域や頭頂領域,また,脳幹の神経伝達物質生成領域と機能的に結合することで,実行系を駆動する可能性を示した。実験では,手がかりパラダイムを用い,認知負荷あるいは情動負荷の手がかりを提示し,手がかり刺激提示時の脳活動をfMRIを用いて計測した。分析には,従来のGeneral Linear Modelに加え,PsychoPhysiological Interactionを用いることで,前部帯状回と実効的結合をもつ領域を特定した。また,個人差にも着目し,手がかり刺激提示中の前部帯状回の活動が強い個人ほど,課題遂行時の反応時間が短くなるという結果が得られた。尚,実験に用いた課題はストループ・フランカー課題であり,実行系機能の働きを要求するものであった。 この研究により,前部帯状回は,認知的負荷が高い状況を検知し,認知行動制御信号を生成することで,状況に適応的な行動を導くはたらきを担うことが示唆された。 考察では,期待価値制御モデルや強化メタ学習モデルを紹介し,本研究結果と照らし合わせることで,前部帯状回における神経計算メカニズムについて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,延べ60名近くの被験者を対象とし,各被験者につき8つのワーキングメモリに関する課題を実施し,データを取得した。また,脳波についても,35名以上のデータを取得しており,包括的なワーキングメモリ課題によるワーキングメモリ機能の計測と,個々人のワーキングメモリ機能と結びつく脳波成分の特定に向けて順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
信頼性の高い分析を実施するためには,更なる行動データと脳波データが必要であることから,作成した課題を用いてデータ収集を進める。 また,機械学習によるデータ分析に準備にも着手する。
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