研究課題/領域番号 |
21K03136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
古家 宏樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (90639105)
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研究分担者 |
山田 光彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 部長 (60240040)
三輪 秀樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (80468488)
國石 洋 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (60805034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 統合失調症 / ヒストン修飾 / GABA / ヒストンアセチル化 / ラット / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、統合失調症におけるHDAC増加とGABA機能障害および多様な精神症状の因果関係を明らかにする。そのため、複数の統合失調症モデル動物を作成し、これらの動物でHDACが増加しているか、GABA機能が低下しているか検証する。また、人工的にHDACを過剰発現させた場合に、GABA機能の低下と統合失調症様行動が生じるかどうか調べる。続いて、HDAC阻害剤が、GABA機能と統合失調症様行動を改善できるか検証する。さらに、HDAC阻害剤がGABA機能の亢進を介して行動異常を改善する可能性について調べるため、GABA合成酵素を持たない動物においてもHDAC阻害剤が治療的効果を示すのか検討する。
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研究実績の概要 |
統合失調症は、幻覚や妄想、社会性の低下や認知機能の低下を特徴とし、人口の約1%が罹患する重篤な精神疾患であるが、その生物学的基盤は解明されていない。同疾患患者の脳ではGABA合成酵素GADが減少するなど、GABA機能の低下が示唆されている。発達期の感染症や低栄養、社会環境など様々な要因が統合失調症の発症に関与していることが知られるが、これらがどのような機序でGABA機能低下をもたらすのかは不明である。統合失調症の脳では、遺伝子発現を調整するヒストンの修飾異常が観察され、ヒストンからアセチル基を取り除き遺伝子発現を抑制するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の増加による遺伝子発現の抑制がGADの減少とGABA機能低下をもたらしている可能性がある。本研究では、ラットを用いてヒストンアセチル化とGABA機能の低下、そして統合失調症様行動との関連について検証する。 本年度は、統合失調症モデルラットの脳におけるHDACの活性とGABA機能の変化を調べた。新生仔期のラットにNMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬を反復投与し、成体期に脳を採取し免疫組織化学染色および定量的PCRを行った。内側前頭前皮質のアセチル化ヒストンH3K9 (H3K9ac)、パルブアルブミン、GAD67の蛍光免疫染色を行ったところ、統合失調症モデルラットにおいてこれらの物質の蛍光強度が低下している傾向がみられた。また定量的PCRの結果、統合失調症モデルラットでGad1がやや減少していた。またGAD67とH3K9acの二重免疫染色により、GAD67陽性細胞にはH3K9acが発現していることが確認された。今後、HDAC活性の抑制がGABA機能および行動異常に及ぼす影響を調べることで、統合失調症とヒストン修飾異常、GABA機能低下との関連を明らかにでき、同疾患の病因の理解と新規治療法の開発に貢献できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、免疫組織化学染色によりGABA機能の低下の組織学的な検証を行った。統合失調症の死後脳において減少が報告されるGAD67を特異的抗体を用いて染色したが、バックグラウンドが高く細胞数をカウントすることが困難であった。しかしながら、染色に用いるバッファーを調整することで細胞体を特異的に染色することが可能となった。以上のように免疫組織化学染色の条件検討に時間を要したものの、染色した切片の撮像も済んでおり細胞数の計測を進めている途中であることから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、HDACの薬理学的阻害がGABA機能と統合失調症モデルラットの行動異常に及ぼす影響について検討を行う。まず様々な用量のHDAC阻害剤を投与した際のGad1発現量を定量的PCRにより測定する。その後、Gad1の増加が確認された用量のHDAC阻害剤を投与し、統合失調症様行動異常に及ぼす影響を調べる。行動試験後に脳を採取し、GABA機能の変化と行動変化との関連について検討する。単回投与では効果が得られない可能性も考えられることから、長期間反復投与した際の効果についても検討を行う予定である。
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