研究課題/領域番号 |
21K03145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
櫻井 研三 東北学院大学, 人間科学部, 教授 (40183818)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 図形変形錯視 / 図形残効 / 順応 / 曲線検出 |
研究開始時の研究の概要 |
長時間観察による順応で生起する一種の残効と考えられていた円図形の変形錯視と同様の効果が,円図形とそのグラデーション図形を交替させるフラッシュ呈示により短時間で生起することを発見し,ポリゴン化効果と名付けた。本研究はこのポリゴン化効果の生起機序の解明を目的とし,ポリゴン化効果と長時間観察での順応にもとづく図形変形錯視が同じメカニズムに依存するか否かを,潜時を指標として網膜偏心度と受容野サイズの観点から実験的に明らかにする。この生起機序の解明は,図形の知覚,特に円がどのような要素の組み合わせで知覚されているのかを理解することにつながる。
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研究実績の概要 |
長時間観察による順応で生起する一種の残効と考えられていた円図形の変形錯視と同様の効果が,円図形とそのグラデーション図形を交替させるフラッシュ呈示により短時間で生起することを発見し,ポリゴン化効果と名付けた。本研究では,ポリゴン化効果の生起機序の解明を目的とし,ポリゴン化効果が先行研究の長時間観察での順応にもとづく図形変形錯視と同じ機構に依存するか否かについて検討している。 2023年度は修正モデルの精緻化を現象観察を中心として継続した。修正モデルでは,1)隣接する曲線検出器同士では逆方向の曲率の出力が順応後に相対的に強くなること,そして2)それらの逆方向の出力はフラッシュ呈示でトリガーされ振動(交替)すること,という2つの制約条件を付与することで,丸みを帯びた角の部分が形成されると同時にフラッシュに同期した多角形の位相(角の位置)変化による仮現運動が生み出す見かけの回転運動を説明した。この修正モデルが説明するように曲率の異なる二つの曲線検出器の出力同士の交替が見かけの回転運動の原因ならば,一方の曲線検出器を事前に順応させると図形変形錯視で知覚された多角形の向きは事前順応で呈示された図形の向きと一致せず,見かけの回転運動も生起しないと予想された。現象観察ではこの予想と一致する結果が得られたことを国際学会(ECVP)で報告した。その後この仮説を検証する知覚実験を行い,得られたデータの一部を国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では,図形変形錯視(ポリゴン化効果)の生起機序の解明を目的とし,ポリゴン化効果が先行研究の長時間観察での順応にもとづく図形変形錯視と同 じメカニズムに依存するか否かを実験により明らかにする計画を進めてきたが,2021年度,2022年度までコロナ禍が続き,感染防止対策のために換気の不十分な暗室での視覚実験を実施できなかったことに加え,2022年度後半はキャンパス移転の準備の影響で,実験を中心とした研究活動の中断を余儀なくされた。研究活動の中心を理論モデルの構築とその精緻化に転換して研究を継続していたが,2023年度は新キャンパスでの研究環境立ち上げが順調に進み,実験によるデータ収集に着手するところまで漕ぎ着けた。それゆえ,研究全体の進捗状況は 「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,移転した新キャンパスで立ち上げた研究環境で,研究計画の遅れを取り戻せるようエフォート率を上げた取り組みを続ける。ポリゴン化効果を説明する修正モデルでは,ある曲率を持つ曲線への順応の結果として,曲率が高くなる方向と低くなる方向のふた つの出力が存在し,それらがフラッシュに同期して交代する(振動する)ことにより見かけの回転運動が生じる可能性を指摘した。この可能性を検証する実験を2023年度の後半から開始しており,夏までに実験を終了させた上でその結果を8月末の国際学会で発表する。 また,当初の研究計画で予定していた(1)網膜偏心度の違いによるポリゴン化効果の生起潜時の変化,および(2)誘導グラデーションの幅の違いによる生起潜時の変化,の2点についての実験は,今年度後半に着手してデータ収集の完了を目指す。
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