研究課題/領域番号 |
21K03149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
金城 光 明治学院大学, 心理学部, 教授 (00327298)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 否定 / 真偽判断 / 命題 / 練習効果 / ワーキングメモリ / 文章理解 / 二重否定 / 高齢者 / 質問紙 / オンライン実験 / 心理尺度 / 否定文 / 眼球運動 |
研究開始時の研究の概要 |
否定文は日常的に使われるが、公共場面において高齢者を含め多くの人が正しく理解できるように使用することは難しい。社会で幅広く用いられる質問紙調査においても、質問文や回答選択肢に否定文が含まれると高齢者は誤って回答する可能性が報告されている(金城ら, 2019)。しかし、否定文利用が問題となる理由や年齢への影響について実証的な根拠は十分に示されていない。そこで、本研究は文章理解の最も簡潔な形態であり、かつ、広く一般に用いられるという質問紙の特性に注目し、眼球運動計測を用いて若者との比較実験を通して、高齢者の否定文の理解力と理解への影響要因の解明、および、否定文処理の認知プロセスの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに行った2つのオンライン実験について論文化を進めた。概要は以下の通りである。否定を含む命題の認知プロセスについては未だ明らかではないが、先行研究で使われている課題では、否定処理以外の認知プロセス(単語の意味や知識、絵の意味解釈等)が含まれてしまっている。そこで、本研究では他の認知プロセスを極力排除するために、前提知識を必要せず、表層構造が異なるが論理構造が同一である単純な命題課題(図形式課題「●≠▲」、図形文課題「●は▲ではない」)と、比較のために一般常識を必要とする命題課題(常識文課題「日本の首都は仙台ではない」)を用いた2つのオンライン実験を行った。すべての命題は4タイプの真偽判断(真肯定、真否定、偽肯定、偽否定)で構成される。実験1では正確性と速さを重視させ、実験2では正確性のみを重視させる教示を行った。もしも、否定判断の認知プロセスが段階的に処理されているならば(心的表象の段階的操作説)、4つの真偽判断の反応傾向は課題に関わらず同じで、かつ練習効果はないだろう。加えて、真偽判断とワーキングメモリ(WM)との関連を検証した。結果、2つの実験結果の傾向は命題の表層構造、知識の必要性の有無、および教示の違いにかかわらず同じだった。すなわち、練習によってすべての課題でRTは速くなったが、3つの課題での結果パターンは練習に関わらず同じで、否定判断は真肯定判断よりも常に遅かった。正答率では練習効果はなく、真否定は他の条件よりも常に成績が悪かった(実験2図形文課題を除く)。これらの結果は、課題間の命題の真偽判断の認知処理は等しく,心的表象の段階的操作説を支持する.さらに、すべての課題において、真偽判断課題の正答率と言語的WM課題および非言語的WM課題との相関が高いことから、否定を含む論理判断は言語のみに依存しない心的表象の照合を伴う認知処理が関連する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文化と実験準備に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、高齢者における否定文の理解力と関連要因を調べることが目的である。これをふまえ、2024年度は以下2点の実現を目指したい。1)真偽が明確な否定を含む論理判断の正確性と反応時間の傾向とその訓練効果について若者と高齢者を比較する。これまでに行った若者を対象とした2つのオンライン実験結果から、否定を含む論理判断の正確性と反応時間の反応傾向、この反応傾向とWM課題成績との関連、反応傾向の練習効果について明らかになった。この結果をふまえ、反応傾向や訓練効果に年齢差があるのかについて調べるため、高齢者を対象に同様のオンライン実験を実施する。オンライン実験のため、クラウドソーシングを用いてインターネットで参加できる高齢者世代60代を対象とした実験を実施する予定である。2)若者と高齢者を対象にした実験室実験を行い、真偽が明確な否定を含む論理判断課題遂行時の眼球運動を測定し、高齢者の課題処理の特性を複数の行動指標と生理指標から明らかにする。
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