研究課題/領域番号 |
21K03155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小寺 諒介 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (20634512)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アファインヤンギアン / W代数 / シフト量子アファイン代数 / テンソル積表現 / 表現論 / 可積分系 / 余積 / 放物誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
表現論は,代数系の加群の構造を調べる学問である.表現の研究は,数学的対象の持つ対称性を捉えその性質を明らかにすることなので,表現論の結果や手法は幅広い応用を持つ. W代数は2次元共形場理論の対称性を記述するために導入された代数系で,可積分系の理論においても重要である.本研究では,W代数の表現論および関連する可積分系について,背後にある量子群(アファインヤンギアン)を通じて理解を深め,新しい知見を得ることを目標とする.
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研究実績の概要 |
(1)前年度までの研究でアファインヤンギアンから長方形型W代数への代数射を構成していた.表現論への応用のためには,この代数射のより精密な解析が必要である.Gaiotto-Rapcak-Zhouは我々の結果を使いアファインヤンギアンの別の表示を得た.この表示は我々の代数射を解析するのに適していると考え,Gaiotto-Rapcak-Zhouの論文の内容を理解するのに一定の時間を割いた.著者のZhou氏を招聘して千葉大学の研究セミナーで講演してもらい,論文の内容の詳細について議論した.その後もZhou氏とメールでの議論を続けている.成果はまだ公表できる段階にないが,2024年度には一定の成果を挙げられると期待できる. (2)和田堅太郎氏との共同研究:シフト量子アファイン代数の表現について研究した.いくつかの具体的な例に対して表現のテンソル積表現の構造を調べた. (3)講演:まず国際研究集会(2件)での講演について述べる.1月に韓国KIASで開かれた国際研究集会で招待講演を行った.量子群研究の専門家が多く集まり,研究成果を周知するとともに有益な交流を結ぶことができた.3月に立教大学で開かれた国際研究集会で招待講演を行った.この集会は数学と物理の研究者の交流を目的として毎年開催されている.研究課題について,物理の研究者から貴重な意見を聞くことができた.その他に,国内での研究集会で2件の講演を行い,東京工業大学での談話会および神戸大学でのセミナーで講演を行った.また,大矢浩徳氏からの依頼で東京工業大学で集中講義を行った.講義にあたってこれまでの研究で得た知識を整理し,わかりやすくまとめるための時間をとった.大学院生を始めとする関連分野の研究者に対して,研究分野の全体像や問題意識を紹介するよい機会になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シフトアファインヤンギアンとW代数の関係は研究開始時の予想より複雑であり,長方形型の場合を除くと具体的な結果はまだ得られていない.しかし(1)で述べたようにアファインヤンギアンの別の表示を使うという新しいアイデアを得たので,研究は着実に進展している. (2)の研究は,シフトヤンギアンの乗法的類似物についてのものである.この研究にはこれまでのアファインヤンギアンの研究で培われた技術や感覚が使われている.さらに,(2)の研究の経験を今後の計画の遂行に生かすことができると考えている. 2023年度はこれまでの研究成果を発表する機会を多く得ることができた(2件の国際研究集会および東工大での集中講義を含む).本研究課題で行った研究の内容が国内外で認知され高く評価された結果だと考えている. 以上を総合して,研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
(1)Gaiotto-Rapcak-Zhouの研究によってアファインヤンギアンの別の表示が得られた.この表示を使って,アファインヤンギアンから長方形W代数への代数射の核を記述することを検討する. (2)和田氏との共同研究を進め,シフト量子アファイン代数のテンソル積表現についてまとまった結果を得る.この研究は,今後シフトアファインヤンギアンのテンソル積表現を研究する際のお手本の理論になることを期待している. (3)7月に韓国のソウル大学校を訪問し連続講義を行う予定である.量子群の専門家であるJae-Hoon Kwon氏と,W代数と可積分系の専門家であるUhi Rinn Suh氏と議論し,研究を推進する.
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