研究課題/領域番号 |
21K03159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
原下 秀士 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70396852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 代数幾何学 / アーベル多様体 / 代数曲線 / モジュライ空間 / 超特異 / 不変量 |
研究開始時の研究の概要 |
数学の代数幾何学という分野において、アーベル多様体や代数曲線と呼ばれる対象が重要な役割を果たしています。本研究では、それらがなす全体の空間(モジュライ空間と呼ばれます)を調べています。全体を調べておくと、個々の対象を調べるときに大変役に立ちます。代数曲線においては、超特異・超特別曲線と呼ばれる非常に珍しい曲線があり、それを見つけたいのですが容易ではありません。本研究では、計算機的手法で見つける方法と理論的に存在性・非存在性を示す方法の両者で、貢献を目指しています。この種の曲線は、耐量子計算機暗号を構成するある手段の鍵となる道具となっているため、本研究はそのような応用分野にも貢献があります。
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研究実績の概要 |
代数幾何学や数論幾何学の重要な研究対象である、正標数の体上のアーベル多様体のモジュライ空間の階層構造や、正標数の体上の種々の曲線の分類や取り得る不変量の決定について主に研究を行った。 アーベル多様体のモジュライ空間については、低次元の場合のアーベル多様体のモジュライ空間の超特異軌道のサイクルクラスについて van der Geer 氏との共同研究が完成し、学術雑誌への投稿を行った。曲線の場合は、低種数の様々な曲線のクラスについて、福岡工業大学の工藤桃成氏や東京大学の大橋亮氏、坂田康亮氏、私の研究室の学生達(山本侑也氏、小笠原匠氏、中田勇気氏)と、曲線の分類や不変量の研究や、超特異・超特別曲線の理論的・計算機的な数え上げについて研究を行った。既にプレプリントを複数作成し、arXivへの投稿、学術雑誌への投稿を行った。具体的には、種数2の曲線の超特別性についての重複度1定理の証明、楕円曲線の2重被覆として得られる種数4の曲線の分類とその超特別曲線の数え上げ、種数5の曲線の6次曲線モデルの特異点の分類とその特異点をもつ曲線がなす空間の次元の決定を行った。 継続中の研究としては、種数3、a-数2の超楕円曲線の研究について、多くの困難を解消することができ、現在論文を執筆している。また、工藤氏とは、曲線のEkedahl-Oort不変量の計算アルゴリズムについて、研究が順調に進んでいる。学生とは、種数が3以上の場合の曲線の超特別性についての重複度1定理、低標数の超楕円曲線の微分形式や自己同型、種数2の曲線に対するLang-Trotter予想関係の話題などの研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
工藤桃成氏、大橋亮氏、坂田康亮氏や本研究室の学生達(山本侑也氏、小笠原匠氏、中田勇気氏)と、代数曲線の分類や取りうる不変量の決定や、超特異・超特別曲線の理論的・計算論的な数え上げについて順調に研究が進んでおり、arXivへの投稿や学術雑誌への投稿を複数行った。具体的には、種数2の曲線の超特別性についての重複度1定理の証明、楕円曲線の2重被覆として得られる種数4の曲線の分類とその超特別曲線の数え上げ、種数5の曲線の6次曲線モデルの特異点の分類とその特異点をもつ曲線がなす空間の次元の決定を行った。また、種数3でa-数2の超楕円曲線の超特異性の研究も大きな進展があった。また、アーベル多様体のモジュライ空間の各種部分多様体のサイクルの計算についても van der Geer 氏との共同研究が完成し、学術雑誌への投稿を行った。本年度、低標数での曲線の自己同型や種数2以上の場合のLang-Trotter予想関係でも幾つか取り組む話題を見つけ、学生と取り組みを始めている。
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今後の研究の推進方策 |
工藤桃成氏、大橋亮氏、坂田康亮氏や本研究室の学生達と、超特異・超特別曲線の理論的研究や具体的な数え上げなど計算機的を用いた研究を、引き続き進めていく。アーベル多様体のモジュライ空間の各種部分多様体のサイクルの計算についても van der Geer 氏との共同研究を引き続き進めていく。2024年度より、伊吹山氏、Chia-Fu Yu 氏との共同研究も開始予定である。曲線の自己同型や種数2以上の場合のLang-Trotter予想関係でも幾つか取り組む話題を持っており、これらは学生と共に研究を進めていく。2024年度は、国際研究集会(Theory and Applications of Supersingular Curves and Supersingular Abelian Varieties, 2024)を主催することが決まっており、その際の研究交流により、また大きく研究が進むと期待している。必要があればPC等のハードウェアの整備を行う。もちろんその他の計算機環境のメンテナンス等必要に応じ行っていく。
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