研究課題/領域番号 |
21K03160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
山浦 浩太 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60633245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 岩永-Gorenstein環 / Cohen-Macaulay表現 / 三角圏 / 準傾対象 / Cohen-Macaulay加群 / 安定圏 / t構造 / 変異 |
研究開始時の研究の概要 |
三角圏において重要な対象の1つが準傾斜対象である. 準傾対象は環上の加群圏の導来圏の研究において導入された概念であり, 導来圏のt構造や完璧導来圏の傾対象の分類の中で重要な役割を果たしている. 近年, ある仮定の下で, 次数付き1次元岩永-Gorenstein代数上の次数付きCohen-Macaulay加群の安定圏に, 自然な準傾対象が存在することが示された. そこで本研究では, 導来圏の構造研究における準傾対象の活用例をモデルとして, 安定圏の構造研究における準傾対象の活用について考察する. これにより準傾対象を用いた1次元岩永-Gorenstein代数の表現論の展開を試みる.
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研究実績の概要 |
入射次元が1以下の正次数付き有限次元代数Aを次数付き1次元岩永-Gorenstein代数と呼ぶ。この代数の表現論における主要な研究対象は、次数付きCohen-Macaulay加群の安定圏SCM(A)である。安定圏は三角圏の構造を有しており、準傾対象を用いた安定圏の構造解析が可能である。この安定圏における準傾対象の振る舞いを調べることが本研究の目的である。 本年度は以下に述べる成果を得た。Rを大域次元有限な有限次元代数とし、この自明拡大代数として構成される1次元岩永-Gorenstein代数Aを考える。この設定のもとで、SCM(A)はR加群の導来圏の許容部分圏とみなすことができる。特に、R加群の導来圏におけるSCM(A)の右直交圏をKとすると、SCM(A)はR加群の導来圏のKによる商圏と圏同値になる。本年度の研究では、Kの準傾対象を具体的に1つ構成することに成功した。この結果と伊山氏-Dong Yang氏によるsilting reductionを組み合わせることで、SCM(A)の準傾対象をR加群の導来圏の準傾対象と関連付けて調べることが可能となった。実際に応用として、R加群の導来圏の準傾対象の集合が離散的ならば、SCM(A)の準傾対象の集合も離散的であるという事実を証明することができた(この応用は相原氏-本間氏による既存の研究成果からも従う)。 本研究で構成したKの準傾対象は、R加群の導来圏における前2項準傾対象となっている。2項準傾対象は一般の準傾対象よりも良い性質を持つこと、様々な表現論的対象と関連していることが知られている。そこで現在、2項準傾対象の理論を参考に、SCM(A)の傾対象の構成について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の中核をなす問いに迫る結果を得ており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果をもとに、次年度は安定圏における傾対象の存在について研究する。今後は以下の2点から研究を進める予定である。(1)Rを大域次元有限な有限次元代数とし、R加群の導来圏の準傾対象の集合が離散的であると仮定する。Rの自明拡大代数として構成される1次元岩永-Gorenstein代数をAとする。このとき研究実績の概要で述べたように、安定圏SCM(A)の準傾対象の集合も離散的である。準傾対象の集合が離散的である場合、任意の2つの準傾対象は変異と呼ばれる操作で移り合うなどの事実が知られており、準傾対象の集合が研究し易いと考えられる。そこで、この設定のもと、安定圏SCM(A)の準傾対象の集合に傾対象が含まれるかどうかを調べる。(2)研究実績の概要で述べたように、既存の2項準傾対象の理論を参考にしながら安定圏の傾対象の構成について検討を行う。 また、前年度の報告で述べた安定圏の準傾対象とt構造との対応に関する研究について、本年度は進展がなかったため、次年度も継続して研究を実施する。
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