研究課題/領域番号 |
21K03176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
茂木 康平 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30583033)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 量子可積分系 / 対称関数 / 可解確率過程 / 旗束 / K理論 / 楕円可積分系 / 量子代数 / 可積分系 / 数え上げ幾何 / 表現論 |
研究開始時の研究の概要 |
可積分系及び量子代数の手法を深めることで、対称関数、数え上げ幾何の研究を行う。 Weight関数やGelfand-Tsetlin基底は元々、量子可積分系や関連する代数解析、表現論の分野で導入されたものであるが、近年、数え上げ幾何における幾何学的基底という意味付けがされるようになり、重要性を増している。これらの対称関数やその特殊化及び、退化であるSchubert/Grothendieck多項式の量子逆散乱法からの研究を行う。例えばYang-Baxter代数による種々の恒等式やノルム公式の導出、旗束の押し出し公式への応用である。
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研究実績の概要 |
可積分系、量子代数を用いた対称関数、数え上げ幾何に関する研究を行った。 そのうちの1つは以前行った5頂点模型と量子代数によるグラスマン束の押し出し公式、恒等式の導出の一般の旗束への拡張である。K理論の場合、グラスマン束と関連のある5頂点模型は現在では確率R行列と呼ばれるものの最も簡単なものであることから、A型の一般の旗束の場合はその確率R行列の高ランク版が可積分系で対応するものであることが期待される。そのR行列より構成される高ランクの量子代数の交換関係式は一般に非常に複雑になるが、あるタイプの交換関係式に関しては、茂地ー内山の議論を用いて、対称群の固定部分群を用いた然るべき表示を導出することができた。この交換関係式はA型の旗束の対称化作用素による押し出し公式の表示と類似性があり、このことを利用して、境界条件の順番をひっくり返したある2つのタイプの分配関数が押し出し公式で結び付くことを証明した。2つの分配関数が押し出し公式で結びつくことはグラスマン束の場合、以前得た結果になる。グラスマン束の他にもう一つの特別な場合である完全旗束の場合、更に中川ー成瀬による押し出し公式の結果と組み合わせることで、高ランク頂点模型によるグロタンディーク多項式の新たな分配関数による表示を得た。また、R行列を有理型のものに取り換えることにより、コホモロジー版の押し出し公式やシューア多項式の分配関数による表示も導出した。 また、可解確率過程と対称関数に関しては岩尾氏、Scrimshaw氏と研究を行っているが、対称関数の部分、即ち(双対)グロタンディーク多項式の多パラメータ拡張に関して解決すべき事項が複数あったが、岩尾氏によって問題点が解決された。例えば歪グロタンディーク多項式は2種類導入されているが、ラベルするヤング図形がもう一方に完全に包含されていない場合も導入して議論する必要があること等々である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前のグラスマン束に関する量子代数、可積分系と代数幾何を関係付ける結果を一般の旗束に拡張できたため。また、この結果を利用することにより、高ランク頂点模型を用いたシューア、グロタンディーク多項式の新たな分配関数による表示を得たため。
(双対)グロタンディーク多項式の多パラメータ拡張に関しては、懸案だった事項が解決したため。
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今後の研究の推進方策 |
A型の一般の旗束と量子可積分系に関して明らかにした対応を他の型の旗束に拡張すること、また、(双対)グロタンディーク多項式の多パラメータ拡張と確率過程の対応及び、対称関数の性質を導出する。また、今夏の楕円可積分系の研究集会 MSJ-SI 2023で色んな方向性に関する知見を仕入れる。
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