研究課題/領域番号 |
21K03179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三井 健太郎 神戸大学, 理学研究科, 助教 (70644889)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 代数多様体族 / トーサー / 主等質空間 / モデル / 代数群 / Galoisコホモロジー |
研究開始時の研究の概要 |
正規整スキーム上の代数群の一般ファイバーは関数体上の代数群である.本研究では,関数体上の代数群のトーサーから作られる正規整スキーム上の代数群が作用するモデルを考察する.モデルは代数多様体族であり,底空間が代数多様体である場合は束構造を持つ代数多様体である.モデルの同型類はGaloisコホモロジーで分類されるので,リジッド幾何や形式幾何を応用しこれを研究する.モデルは有限群による商として得られるので,商特異点や商写像の分岐を調べてモデルの不変量を求める.これまでの研究で楕円曲面について不変量やトーサー上の閉点と特異ファイバーの関係を明らかにしてきた.これと類似した関係を探り一般の場合を研究する.
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研究実績の概要 |
正規整スキーム上の代数群の一般ファイバーは関数体上の代数群である.これまでの研究で,関数体上の代数群のトーサー(主等質空間)から正規整スキーム上の代数群が作用する対称性の高い幾何学的モデル(代数群作用を持つ代数多様体族)を構成したが,本年度は具体的な対象へ研究を応用した.完備付値体上定義されたトーラス還元を持つアーベル多様体のネロンモデルに対し,Mumfordモデルを手掛かりに双有理幾何学的な意味で極小な相対コンパクト化を構成し,共同研究者の中村郁氏と結果をまとめた.この相対コンパクト化はネロンモデルの加法作用が一意的に拡張可能であるという高い対称性を持っている.対称性の証明にはリジッド幾何を応用する. また,共同研究者の黒田匡迪氏とGAPN(generalized APN)関数を研究した.これまでに非線形性が高い有限体上の関数としてPN(perfect nonlinear)関数やAPN(almost PN)関数が研究され,標数2の場合は暗号理論や符号理論へ応用されてきた.近年,標数2のAPN関数の代数的性質を保つ奇標数への一般化としてGAPN(generalized APN)関数が定義され研究され始めた.その中で標数3の特殊性が観察されている.本年度は標数3の場合に単項GAPN関数の分類を進めた.GAPN関数の分類は代数曲線の幾何学的既約性と関係している.幾何学的既約性は特異点の分布,局所的性質,Galois作用等と関係するため,有理点の存在しない代数多様体の研究や代数多様体の局所構造の研究で培った手法を応用し特異点を分析して多くの場合に分類を進めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代数多様体の退化についてのモノドロミー判定法に関する研究も進める予定であったが論文の共同執筆者が体調不良に陥り協力の得られない状況が続いている.また自身も体調不良に陥った上,他業務が増加したため研究完成に想定以上の時間を要している.一方,他の応用に関する共同研究については新しい展開があった.
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今後の研究の推進方策 |
モデルの不変量を求める方法を確立するため商特異点や商写像の分岐を研究する予定である.基礎体が正標数であっても低次元の場合は商特異点の研究を進めており,これまでの研究結果を応用すれば曲面の具体的商特異点解消について新種の例が得られると考えている.具体的には,共同研究者の伊藤浩行氏と純非分離作用と分離作用の関係について研究する予定である.位数が標数と等しい場合,純非分離作用は加法型p-閉微分作用素で記述でき,分離作用は擬微分作用素で記述できる.加法型p-閉微分作用素を擬微分作用素へ変形することで純非分離作用を分離作用へ変形できる.その結果,純非分離商と分離商を繋ぐことができ,特異点解消の双対グラフは一致するが解析的同型ではない特異点の組みが得られると期待できる.またその帰結として,双対グラフから決定できる不変量については,分離商に付随する不変量の困難な計算を比較的簡単な純非分離商の場合へ帰着できる.微分作用素の変形や不変量の計算は複雑であるが,電子計算機と数式処理ソフトを活用することで予想を立て,詳しい商特異点の構造も明らかにする予定である. また,商特異点の計算で培った手法を射影平面の二次被覆の研究へ応用する予定である.具体的には,共同研究者の白根竹人氏と被覆上の直線束を分類しその押し出しで得られる階数2ベクトル束の幾何学的不変量を調べる.分岐部分が非特異な場合は一般論が知られているので特に特異な場合について研究する.これまでの商特異点の計算で培った手法を応用し予想を立てより一般の場合も研究を進める予定である.
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