研究課題/領域番号 |
21K03195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 雅彦 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (30125356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コンウエイ群 / 表現論 / 正則頂点作用素代数 / 軌道理論 / 自己同型群 / ムーンシャイン現象 / リーチ格子 / 一般深洞 / 頂点作用素代数 / 深洞 / W-元 / 有限群 |
研究開始時の研究の概要 |
リーチ格子の自己同型群であるコンウエイ群やその部分群を利用した頂点作用素(超)代数の研究を2つ行う。一つ目は、ローレンツ格子頂点代数とアイソトロピック頂点代数を利用した24次元正則頂点作用素代数の相互関係の研究である。もう一つは、マシュー群に関係したマシュームーンシャイン予想のコンウエイ群への拡張を目指す試みである。現在、候補として考えているコンウエイ群Co.0が作用している中心電荷12の頂点作用素超代数があるので、その構造をコンウエイ群の基本部分群(冪零部分群)を利用して調べ、内部のN=4共形超代数の構造とそれから出てくるモックモジュラー関数およびコンウエイ群の部分群との関係を調べる。
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研究実績の概要 |
中心電荷24の正則頂点作用素代数の分類問題は、頂点作用素代数が導入された1980年代からの重要な問題の一つであり、研究代表者も30年前から、研究の主目的の一つとして取り組んできた。その分類研究はこの20年ほどの間に大きな進展を遂げ、ウエイト1の空間によるリー代数などの内部構造による分類や、自己同型群による変形、トレイス関数の保系性を利用した方法等、いろいろな手法を用いることで、それらの手段が使えないムーンシャイン型と呼ばれる特別な例を除いて、個別計算ではあるが、一応の分類が完成した。ただその研究途中で発見されたヘーン観測のような不思議な現象も出てきており、真の解決とは言えなかった。本研究では、格子を利用した頂点作用素代数研究のラム教授(台湾中央研究院)と有限群研究者の千吉良教授(熊本大学)との研究で、ランク24の正則格子の分類において非常に美しい方法と理解されている「リーチ格子の深洞を利用したHolly constructionを拡張し、リーチ格子の自己同型群であるコンウエイ群の元によって固定されたリーチ格子の深洞(これが自己同型に過ぎないのに一般深洞と呼んでいたものの真の姿であることを示した)を利用して、ムーンシャイン加群以外の正則頂点作用素代数の分類(完全な1対1対応)を完成させ、さらに不思議な関係を思われていたヘーン観測の真の意味を説明し、ムーンシャイン型以外の分類問題に対する最終回答を得た。すなわち、コンウエイ群そのものが、中心電荷24の正則頂点作用素代数の分類を与えていることを示したのである。これにより、分類問題は、ムーンシャイン型の頂点作用素代数の一意性の証明という頂点作用素代数の初期の段階からの大きな問題に帰着されるが、これまでの分類研究を通して得てきた知識や手法は、この問題に正面から取り組むことを可能にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ここ数年、コロナにより国際交流ができず、共同研究を行っている台湾中央研究院のラム教授やカリフォルニア大学サンタクルツ校のドン教授グループとの議論ができなかったので、研究計画はかなり遅れていた。しかし、最近はラム教授との交流はW代数関係のクロアチアの Admovic教授、ローマ大学のPaulo教授などとの交流も進み、かなり遅れを取り戻している。
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今後の研究の推進方策 |
ムーンシャイン型以外の正則頂点作用素代数の分類が完成し、頂点作用素代数出発点からの問題であるムーンシャイン型の頂点作用素代数の一意性の証明を目指す。これまでの議論により、モンスターリー代数を利用することで、この問題に正面から取り組むことが可能になったと判断しており、台湾のラム教授、クロアチアの Adamovic 教授、カナダのGannon教授と議論を進めて、数年以内に完成させたいと考えている。
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