研究課題/領域番号 |
21K03200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小島 秀雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90332824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アフィン代数曲面 / 対数的小平次元 / 対数的多重標準写像 / 多項式環 / レトラクト / 正規del Pezzo曲面 / 指数写像 / 正規代数曲面 / 導分 / 代数的トーラス作用 / 正規デルペッゾ曲面 / 代数幾何学 / 対数的多重種数 / 有理曲面 |
研究開始時の研究の概要 |
開代数曲面(完備でない代数曲面)はその対数的小平次元の値 (今の場合は-∞、0、1、2のいずれかの値をとる)により四つのクラスに分けられる。本研究では、基礎体の標数が0のときにほぼ確立している、対数的小平次元の値による正規アフィン代数曲面のおおまかな構造定理を任意標数で確立することが目標である。 特に、本研究では対数的小平次元が0以下の場合の構造定理を確立し、対数的小平次元が1以上の場合の対数的n種数を調べる。そして、それらの結果を用いて、アフィン平面に近い性質を持つ正規アフィン代数曲面を分類し、正規アフィン代数曲面に対する消去問題や一般化されたヤコビアン問題を調べる。
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研究実績の概要 |
今年度は主に, 非特異開代数曲面の対数的多重標準系, ピカール数1の正規del Pezzo曲面, および, 多項式環の部分代数について研究した。今年度に主に得られた成果は次の通りである。 (1) 対数的小平次元が1となる開代数曲面の対数的n重標準写像が飯高ファイバー空間を与える自然数nの範囲を求めるという, 小平次元1の射影曲面の場合に研究された問題の開代数曲面版を研究した。任意標数での対数的小平次元が1の非特異アフィン代数曲面については, n≧8のときに, その対数的n重標準写像は飯高ファイバー空間の構造を与えることを証明し, 更に8が最良であることの例を与えた。更に, 曲面がアフィン直線のファイブレーションの構造を持つ場合は6が最良になること証明した。これらの結果については論文にまとめ, 現在学術雑誌に投稿中である。 (2) 長峰孝典氏 (小山工業高等専門学校 (現 日本大学)), および, 指導した大学院生である笹川理湖氏 (現 新潟県高等学校教員) と共に, 体上の3変数多項式環のレトラクトについて研究した。体の標数が0であるときはそのレトラクトは多項式環であることを長峰氏が証明しているが, 本研究で基礎体の標数が0の場合にレトラクトが多項式環になるための十分条件をいくつか挙げた。特に, レトラクトがある指数写像の核になる場合とレトラクト上に自明でない指数写像が存在する場合について, そのレトラクトが2変数多項式環になることを証明した。 (3) 前年度に引き続き, 標数0の代数閉体上のピカール数1の正規del Pezzo曲面について, その曲面が有理対数的標準特異点のみを持ち, 更に川又対数的端末特異点でないものを含む場合の分類を実行した。特に, そのような曲面の非特異部分がアフィン直線のシリンダーを含まない場合を部分的に分類した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の実績報告書に記載した研究計画において, 今年度は主に, 1. ピカール数1の高々有理対数的標準特異点のみを持つ正規デルペッゾ曲面, 2. ピカール数1の正規有理曲面から曲線を除くことにより得られる開代数曲面の対数的n種数, 3. 3変数多項式環のfactorially closedな部分環とレトラクト, 4. アフィン平面の有限群商の極小コンパクト化, について研究する予定であった。これらの中で3については, 想定通りに研究が進展しており, 研究論文として発表できる状況になっている。1 , 2, 4については研究計画で記載した通りには研究が進展しなかった。これは, 昨年度までの研究集会への参加や対面での研究活動に制限があったことに加え, 今年度も申請者の学内での管理運営業務が多忙であったことが原因である。上記のことから判断し, 「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は令和5年度が最終年度であったが, 令和6年度まで研究を延長することにした。令和6年度は, 令和5年度に予定していた研究の内, 特に次の事項について研究を遂行する。 (1) 3変数多項式環のfactorially closedな部分環とレトラクトが多項式環となるための, これまでに得られた条件を改良する。また, 3変数多項式環のレトラクトの例を更に構成し, それらが多項式環になるかどうか調べる。また, それらを4変数多項式環にした場合に多項式環にならない例が存在するかどうか調べる。更に, factorially closedな部分環やレトラクトを一般化した概念について同種の問題を考察する。これらの研究については, 長峰孝典氏(日本大学)と定期的に連絡をとりながら研究を遂行する。 (2) アフィン平面の有限群商の極小コンパクト化で, 標準特異点のみを持つ場合と曲面の標準因子が数値的に自明になる場合を中心に分類を遂行する。澤原雅知氏(弘前大学)と協力しながら研究を遂行する。
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