研究課題/領域番号 |
21K03207
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 東京電機大学 (2022-2023) 九州大学 (2021) |
研究代表者 |
並川 健一 東京電機大学, システム デザイン 工学部, 准教授 (10757066)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 数論 / 保型表現論 / p進L関数 / 岩澤理論 |
研究開始時の研究の概要 |
L関数の特殊値の研究手法に保型表現論の応用が挙げられる. とくに特殊値の代数性, およびp進族の構成には, 保型形式を用いて定義される周期積分の明示的な研究が非常に有力である. 本研究では, 周期積分を明示的に構成することでこれらの問題に取り組む. とくに周期の間の非自明な関係式や, p進L関数の構成, Selmer群の元の構成について, GL(n), GSp(4)などの具体的な簡約代数群の保型表現に付随するRankin-Selberg型の周期積分を通して研究していく.
|
研究実績の概要 |
前年度までに, Rankin-Selberg L関数の周期積分の明示公式について研究してきた. 今年度も引き続き同様の主題を扱った. まず前年度までに得られていたGL(n)×GL(n-1)のRankin-Selberg L関数の臨界値の整性について, 論文に書き上げ投稿した. ここで用いていた手法と同様の方法で, GL(n)×GL(n)のRankin-Selberg L関数の臨界値の有理性について得ていたが, 今年度はそれに加えてGL(n)×GL(n)の周期のモチーフ論的解釈についても結果を得た. GL(n)×GL(n-1)の周期のモチーフ論的解釈と合わせると吉田による周期不変量の間に関係式を得ることが出来た. またGL(3)×GL(2)のp進L関数の構成を行った. これは本研究計画の序盤に行っていたGL(3)×GL(2)のRankin-Selberg L関数の臨界値の有理性の研究の続編に相当する. 以前の研究でGL(3)×GL(2)の周期積分について, 対応するコホモロジー解釈, Eichler-志村写像, コホモロジーの有理構造を明示的に書き下していた. この以前の研究に加えてHsieh-山名によるU(3)×U(2)のp進L関数の構成に現れる局所積分をこの記述により解釈することで, 構成を行った. とくにコホモロジーの有理構造の記述の応用として, 異なる臨界点での値の合同式 (Kummer-Manin合同式)も得られ, Coates-Perrin-Riouによるp進L関数の存在予想とも整合的な結果を得ることが出来た. この結果はJanuszewskiによるGL(n)×GL(n-1)のp進L関数の構成の, n=3の場合の精密化を与えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モチーフ論的背景の論文が出版されたこと, GL(n)×GL(n-1)の臨界値の整性の論文について投稿したこと, GL(3)×GL(2)のp進L関数についての結果が得られたことを考えると, 進捗状況としては「おおむね順調」とするのが妥当であると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究計画目的に挙げた成果が得られつつあるので, まずはすでに得られた結果を論文としてまとめていきたい. またGL(3)×GL(2)のp進L関数の構成は, 周期積分やコホモロジー類の明示的記述, 周期の解釈など, 当初の研究目的を達成するものである. この応用として, GL(3)×GL(2)のp進L関数の先頭項の研究や, p進L関数の分解公式など, p進L関数の典型的応用例について模索することは必須と考えている. 中でもGL(2)の三重積L関数が, 対称積表現と標準表現の積のL関数へ分解する現象が興味深い.
|