研究課題/領域番号 |
21K03208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 岡山大学 (2022-2023) 熊本大学 (2021) |
研究代表者 |
山田 裕史 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (40192794)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グラスマン多様体 / 旗多様体 / KP方程式系 / シューア函数 / Q函数 / KdV方程式 / ヴィラソロ代数 / ソリトン方程式 / ヤング図形 |
研究開始時の研究の概要 |
大雑把に言ってKP方程式系はA型,BKP方程式系は(その名のとおり)B型の理論である.それぞれのリー群はGL,Oであるがこの二つの群の有限次元表現の間には一種の双対性がある.Howe双対性と呼ばれている.そしてその双対性を統括しているのがシンプレクティック群(正確にはその2枚の被覆群であるメタプレクティック群)のヴェイユ表現である.今回の双対性は表現論の,いや数学の中核をなすと言ってもよい.広田方程式も双対性として捉えることができる.研究課題を「非線型可積分系と双対性」としてもよいかもしれない.
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研究実績の概要 |
KP方程式系や変形KP方程式系の広田表示について調べている.佐藤幹夫氏かが1980年にこれに関する日本語の論説を書き(数理研講究録所収)計算結果を表にしているがその意味がようやく少しわかってきたところである.KP方程式系がグラスマン多様体上の力学系であるのに対し,変形KP方程式系は旗多様体上の力学英であることがだんだんと理解されてきている.標語的には以前からよく言われていたことだが,自分なりの理解が進んでいると言えよう.この理論ではシューア函数やシューアのQ函数が本質的な役割を果たす.KPの2被約方程式系であるKdVについては対称群の p=2 のモジュラー表現論が本質的に関係しているらしい兆候が見られるのでその方向も現在模索中である.ヴィラソロ代数のフォック表現に関して面白い恒等式を見つけたので青影一哉氏,新川恵理子氏と共著論文を4編書いた.KdV とうまく関係付けられそうな気がする.ヴィラソロ作用素とプリュッカー関係式は私の若い頃からの研究のモチべーションである.シューア函数の満たす(変形)プリュッカー関係式に関連していわゆる「微分(変形)プリュッカー関係式」なるものが発見された.現時点では意味が不明であるが,旗多様体の性質を訴えているものにちがいない.深いものであると確信している.分割の単因子に関して千吉良直紀氏と共著論文を書いたがまだ出版に至ってはいない.易しい初等整数論でありながら対称群の表現論の深いところと繋がっているような気配がある.レフェリーがいかなる判断を下すのか興味津々である.様々な一般化が可能であるはずでもう少し詳しく追求してみても面白いかなと思っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長い間,アイデアを眠らせていたが,最近になってようやく少し開花してきたような気がする.「おおむね順調」と言ってよいだろう.
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今後の研究の推進方策 |
変形KP方程式系と旗多様体,その広田方程式とヴィラソロ代数の関連をさらに実験を通して理論を構築していく.もしかしたら専門家の間ではよく知られていることかも知れないが,あくまでも自分なりの理解を深めていきたい.一人で机に向かって実験をするだけでなく,研究者仲間とのおしゃべりを通して議論を深め,本質的な部分を明らかにしていくことも必要だろう.
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