研究課題/領域番号 |
21K03215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
奥間 智弘 山形大学, 理学部, 教授 (00300533)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 2次元正規特異点 / 正規還元種数 / 正規正接錐 / normal reduction number / 楕円型イデアル / 幾何種数 / 2次元特異点 |
研究開始時の研究の概要 |
一般に,複素2次元特異点の位相型を与えたとき,それを実現する複素2次元特異点は多様であり,その幾何種数や重複度,極大イデアルサイクルなどの基本的な解析的不変量でさえ評価することは困難である.本研究では,与えれた位相型をもつ複素2次元特異点について,それらの不変量が最小または最大になるための条件を求め,それを満たす特異点の特徴をとらえ,その解析に関連するコホモロジーの次元と変化をとらえることを目標とする.
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研究実績の概要 |
本年度は渡辺敬一氏 (日本大学文理学部,明治大学研究・知財戦略機構) と吉田健一氏(日本大学文理学部) とともに2次元正規特異点の正規還元種数および正規正接錐に関連する課題を中心に研究を行った. 正規還元種数は,特異点解消空間上のイデアル層のコホモロジーの次元を扱う際の基本的な不変量である.現状ではその値を具体的に求めることは困難であるが,この不変量に関連する成果は少しずつ得られている.本年度はそれが位相的不変量では無いことを具体例によって示すことが出来た.その上で,位相不変量による評価に関する研究も継続し,より精密な結果が得られた.また,前年度に楕円型イデアルに関する正規正接錐のGorenstein 性の特徴付けが得られていたが,本年度は正規還元種数を用いて一般のイデアルに対する結果へと拡張した.さらに,イデアルの位相型ともいえるイデアルの双対グラフを導入し,正規正接錐がGorenstein環になるようなイデアルの双対グラフが有限個であることを示した.斉次超曲面特異点においては,次数が5次以下の場合にそのようなイデアルを分類した.これらの結果は可換環的観点と幾何学的観点からの考察により得られたものである.そのような手法により,特異点のalmost Gorenstein 性を幾何学的に考察する研究も始まった. 一方で,研究代表者は学生であった熊谷氏とともに,特異点の超曲面で分岐する有限巡回被覆として得られる特異点の正接錐が,被覆次数が十分に大きいときに一定になることを示した.都丸正氏 (群馬大学)が,2次元特異点に対して,被覆次数が十分に大きいときに巡回被覆の特異点の重複度が一定になることを示していたが,本結果は一般次元の特異点に拡張し,さらに正接錐の不変性に精密化したものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は対面による議論や研究集会への参加の機会も増え.昨年度より研究が進んだ.特に,前年度から継続している正規正接錐の研究については,理論の一般化や内容的な拡張,具体例の発見に関して進展があった.正規還元種数に関しては位相不変量でないことが明確になり,新たな課題もできた.今後も,幾何学と可換環論の双方の観点による研究を充実させていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
正規正接錐のGorenstein 性や特異点の almost Gorenstein 性に関する研究では,関連する課題の広がりや新たな手法を見出す可能性が期待され,これからも成果を得ることが出来ると考えられる.特異点解消空間上の幾何や環論的手法の両側から研究を深化させるため,渡辺氏,吉田氏との共同研究を継続する.さらに,特異点の幾何学的な構造を捉える研究も進めていく.関連する分野の知見を得るために積極的に研究集会等に参加し,研究成果を発表したい.
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