研究課題/領域番号 |
21K03216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
丹下 基生 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70452422)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | レンズ空間 / デーン手術 / 4次元多様体 / スライスリボン予想 / pochette surgery / outer surgery / correction term / Scharlemann manifold / レンズ空間手術 / 4次元多様体の手術 / ハンドル分解 |
研究開始時の研究の概要 |
4次元球体のハンドル分解において、3ハンドルがついている状況において、2,3ハンドルがどのように絡むのかについて明確にする。任意のスライドにおいて、ハンドルダイアグラムの補空間が変化する状況を読み取る。これによって、その中の結び目がどのような位置にいるのかについて突き止める。それによって、スライスリボン予想にどれほど近づけるかについて考察する。 レンズ空間手術の分類をポアンカレホモロジー球面内の結び目の場合に解決する。この解決と、changemaker latticeとの関係を探ることでレンズ空間の分類を精密化させる。また、その記述によりBerge-Gordon予想がどのように関係するかを探る。
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研究実績の概要 |
エキゾチックな微分構造とは、位相同相だが、微分同相ではない2つの多様体のことである。この構造について解明することが、多様体論において非常に重要である。4次元以外では、その構造が解明されているが、4次元において可微分構造を分類することは難しい。4次元多様体のハンドル構造を用いた研究は微分構造の解明に期待できる。結び目理論におけるスライスリボン予想は、4次元球体のハンドル構造に関する問題と捉えることができる。本研究課題では、このハンドル構造の理解を推し進めることである。 全ての3次元多様体は絡み目のデーン手術で作られるが、結び目のデーン手術によってレンズ空間がいつ作られるかという問題は古くからあり、その解答はGreene氏によって得られていた。このような問題は基本的かつ重要である。Greene氏の手法は4次元の交差形式の組み合わせ的議論によって得られていた。この研究課題では、その手法ではなく、結び目のアレクサンダー多項式を平面上に描いたnon-zero curveを用いて分類を行うことである。この方法はGreene氏によるものとは違い、多くの一般化が可能となり、意義深い。例えば、L-spaceホモロジー球面上の手術についても分類することができる。また、23年度には、Caudell氏によって、ポアンカレホモロジー球面から得られるレンズ空間が全て分類された。本研究の目標は、non-zero curveを用いてこれらの分類だけでなく、あらゆるL-spaceホモロジー球面の手術で得られるレンズ空間を分類することである。 ヒーゴールフレアホモロジーはOzsvathとSzaboによって定義された。この研究では、L-space結び目が持つファイバー性に対して、そのモノドロミー的観点から明らかにすることである。これはBerge予想に向かう道筋として重要な意義を持つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、以下の3点について研究を行った。 (1)レンズ空間のデーン手術的分類 (2) コルクとstabilizationについて (3) ブリースコーン球面のd-不変量について (1)レンズ空間がどのようなホモロジー球面のデーン手術になるかということは完全に求めることは難しい。L-spaceホモロジー球面からレンズ空間を得るとき、報告者は以前20個のリストを発見していた。このような20個のそうしたリストがL-spaceホモロジー球面から得られる全てであることが予想されている。今年はその証明の開発を推し進めた。近年Caudell氏はchangemakerを用いてポアンカレホモロジー球面上レンズ空間手術の分類に至った。我々の研究では、それ以外の場合に対して考察を進めた。特に、大学院生の田内光一氏とキャッソン不変量の観点から分類を行った。その結果、キャッソン不変量が-2,-3の場合においてスロープpが小さい場合に全て分類を与えた。それにより、デーン手術の多くのパターンを発見した。 (2)コルクとは4次元の微分構造の違いを反映させた可縮な4次元部分多様体のことをいう。コルクについて研究することで、微分構造全体の研究ができる。これまでコルクがエキゾチックな微分構造から引き出されていたが、今回の研究では、コルクを用いた微分構造全体の新しい基準を与えることと考えた。一方、微分構造全体の同値関係として、stabilizationがある。今回の研究で、コルクによる同値関係がstabilizationによる同値関係を導いた。この対応の逆について発展させることが今後の課題である。 (3)ブリースコーン球面のd-不変量を直接計算は難しく、公式を開発することは意義がある。東工大の鈴木龍正氏と研究を行い、指数p,q,rのうちrが±1mod pqの場合に平面上のある格子点の個数と等しくなることを導いた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、おもに以下の3点で研究を進める。 (1) レンズ空間についての研究を行う。レンズ空間がnon-zero curveを用いた分類を引き続き行う。レンズ空間の分類に関する研究の方をおし進めた。p,kの条件から決まるあるnon-zero curveのglobal viewについての特徴を引き出す。また、Greene氏とCaudellは、交差形式に関するchangemakerを用いた手法により手術の分類を行った。このことから、この研究でこの手法を取り入れる。まずはある構造を持つL-space結び目の分類を行う。また、ポアンカレホモロジー球面上のレンズ空間結び目の特質を究明する。例えば、これらの結び目のdouble primitive positionなどである。このことは、ヒーゴール種数が2の曲面上に乗るdouble primitive positionはどのように得られるかという問題を明らかにする。これにより、レンズ空間手術における考察を進める。 (2)昨年研究がストップしていたスライスリボンに関するハンドル分解の考察を進める。まずはハンドル分解の図式に対して与えられる図式のホモトピー的指標を整備することである。これにより、スライスリボン予想において困難な状況を回避できるか検討する。 (3)コルクを用いた新しい4次元多様体の理論を作る。S^2 x S^2によるstabilizationは4次元多様体の微分構造を大まかに分類する。この分類は、どのような性質を持つコルクによって得られる関係として特徴づけられるか?という問題を考察する。
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