研究課題/領域番号 |
21K03218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田崎 博之 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30179684)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 対称空間 / 対蹠集合 / 実形の交叉 / 複素旗多様体 / 有向実Grassmann多様体 / 組合せ論 |
研究開始時の研究の概要 |
数値の集まりや分布を図形として捉え、その中でも極めて高い対称性を持つ図形である対称空間の全体像を、対蹠集合と呼ばれている有限部分集合の形や点の個数を通して、把握することを目指している。これは、対称空間の微分幾何学的、位相幾何学的、および組合せ論的性質の間の関連性を対蹠集合を通して記述することを想定している。これにより、全貌の把握の難しい数値の集まりや分布を有限の情報からおおまかに把握できる。対称空間の持つ対称性の高さから、対称空間は数学の多くの分野に現れる数学的対象であり、対称空間に関する研究成果は多くの分野への波及効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
コンパクト対称空間内の対蹠集合の解明に関する研究目的Iについては、非連結コンパクトLie群の極地および非連結コンパクトLie群の極大対蹠部分群の分類の研究を進め、研究成果をPolars of disconnected compact Lie groups, Cont. Math. (2022)で発表した。その成果を利用してコンパクト対称空間の極大対蹠集合の分類を進めた。非連結コンパクトLie群の極地としてコンパクト対称空間を埋め込む手法は、コンパクト対称空間の極大対蹠集合の性質を調べるために有効であることが2020年にDiff. Geom. App.に発表した論文で明らかになっている。さらに、非連結コンパクトLie群の極地を具体的に記述し、その中の極大対蹠集合の分類をおおむね完成させたが、議論がまだ不十分な点があることに気が付き、現在それを明らかにしているところである。また例外型コンパクトLie群G_2に関連したコンパクト対称空間の極大対蹠集合の幾何学的および代数的な意味を明らかにした研究成果はMaximal antipodal sets related to G_2, Proc. Amer. Math. Soc. (2022)で発表した。 複素旗多様体に拡張した対蹠集合の概念に基づいて、複素旗多様体内の二つの実形の交叉の対蹠性を解明するという研究目的IIについては、研究成果をまとめた論文がかなり長くなり執筆を進めている。 有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合を解明するという研究目的IIIについては、今までの代表者の研究成果を参考にして、階数5以上の有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合の分類に向けて研究を進めている。今までに構成した極大対蹠集合の系列は分類結果を記述する上で基本的なものであることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的Iについては、これまでに得られた成果を2022年度に二編の論文にまとめ学術雑誌に発表した。それに続く研究についても目的にしていた事項がおおむね得らたが、議論がまだ不十分な点があることに気が付き、現在それを明らかにしているところである。 研究目的IIについては、成果を論文にまとめているところであり、目的にしていた成果がおおむね得られた。 研究目的IIIについては、特に階数5の場合に研究を進めていて、昨年度の成果に加えてさらに新しい結果を得ている。さらに、研究目的Iに向けた研究で使用した非連結コンパクトLie群の極地としてコンパクト対称空間を埋め込む手法は、研究目的IIIにおいても有効であることが明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的Iに関しては、昨年度に引き続きコンパクト対称空間を対合による半直積として構成できる非連結コンパクトLie群に極地として埋め込む手法の適用範囲を広げる。非連結コンパクトLie群の極地はこれまで詳しく調べられていなかったようなので、その性質や運用方法について基礎的な事項を明らかにする。特に、非連結コンパクトLie群の極 大トーラスにあたるもの、およびその共役性についてはHermann作用を利用して詳しく調べることができる。 研究目的IIに関しては、複素旗多様体内の二つの実形を定める対合が可換でない場合に今までの研究成果を拡張する。 研究目的IIIに関しては、有向実Grassmann多様体を極地として埋め込める非連結コン パクトLie群を具体的に構成し、その非連結コン パクトLie群の極大対蹠部分群を分類する。この極大対蹠部分群の分類から、有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合の性質を系統的に研究する。 さらにこの研究が有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合の分類につながることが期待できる。
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