研究課題/領域番号 |
21K03224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂根 由昌 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00089872)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 不変なアインシュタイン計量 / リッチテンソル / コンパクト等質空間 / コンパクト単純リー群 / グレブナー基底 / 一般化された旗多様体 / アインシュタイン計量 / コンパクトリー群 / リッチ曲率 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の存在、または、非存在を研究することである。 これまでの多くの研究は、等方部分群による接空間の既約分解が互いに同値でないという条件をみたす場合になされた。この場合には、アインシュタイン計量になる条件は、リッチテンソルの対角成分が等しいという条件になる。既約分解が同値な表現を含む場合は、等質空間上のアインシュタイン計量の存在に、リッチテンソルの対角成分以外は0になるという条件が必要となる。 本研究の目的は、等方部分群の様子により、不変なアインシュタイン計量の存在・非存在が示せるようなコンパクト等質空間の例を構成することである。
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研究実績の概要 |
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の存在・非存在について次の研究を行った。 前年に得られていたコンパクトリー群にに関する結果、特殊ユニタリー群 SU(N) (N > 5) 上に、新しいnaturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在すること、の証明方法を改良した。すなわち、2020年に、Arvanitoyeorgos、Statha と研究代表者により、等質空間 SU(k+m+n)/S(U(k)xU(m)xU(n)) を用いて、特殊ユニタリー群 SU(k+m+n) (k > 1, m > 1, n > 0)上にnaturally reductive でないAd(S(U(k)xU(m)xU(n))-不変なアインシュタイン計量が存在することを示したが、この結果を拡張し、コンパクトリー群 SU(m+ k(p-1))上に新しい不変なアインシュタイン計量の存在することの証明方法を改良した。また、得られた左不変アインシュタイン計量が等長となるかを研究した。これらの結果を北海道大学で開催された日本数学会秋季総合分科会で講演した。 存在・非存在については、2005年のBohm に関連して、SO(N)、Sp(N) のあるコンパクト等質空間系列上に、不変なアインシュタイン計量の存在しない場合、あるいは、存在する場合がある例を構成し、また、1997年にParkと研究代表者により構成した SO(N) のコンパクト等質空間の拡張に対して、不変なアインシュタイン計量の存在しない場合、あるいは、存在する場合がある、ことを前年に示していたが、存在する場合に関してより良い結果を得た。これにより、さらに多くの不変なアインシュタイン計量の存在する例が構成できた。この結果を中央大学で開催された日本数学会年会で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンパクト単純リー群上のアインシュタイン計量については、特殊ユニタリー群 SU(N) (N > 5) 上に、新しいnaturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示した。等質空間 SU(m+ k(p-1))/S(U(m)xU(k)x・・・xU(k)) (N=m+ k(p-1) >5)を用いて、m > (p-1) k-1, p > 2, k > 1 のとき、特殊ユニタリー群 SU(m+ k(p-1)))上に、新しい naturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示していたが、これらの計量が等長であるかという問題を解決できた。また、他の古典型のコンパクト単純リー群に対しても、同様の構成方法が出来るかについて研究を開始した。 また、Parkと研究代表者により SO(N) のコンパクト等質空間の系列で不変なアインシュタイン計量の存在しない場合、または、存在する場合があるという結果を1997年に得ていたが、これを拡張した系列に対して、不変なアインシュタイン計量の存在しない場合、または、存在する場合があることを、Bohmの結果と関連して前年に示していたが、存在する場合に関する結果を改良し、より多くの系列に対して存在証明ができた。
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今後の研究の推進方策 |
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の存在については、これまでの多くの研究は、等質空間の等方部分群による既約成分が同値でない場合であったが、同値な成分を持つ場合を考察する。より具体的には、コンパクト単純リー群上に、新しいアインシュタイン計量が存在するかを、一般化された旗多様体で、第2ベッチ数が2以上ものから定まる不変計量の中で考察する。これは特殊ユニタリー群 SU(N)上で行ってきた研究の手法が応用できると思われる。特に、古典型の単純コンパクトリー群に対して研究する。 コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の非存在については、一般化された旗多様体から新しく定まる等質空間について考察する。これらの例については、2005年のBohm の方法は適用することはできないことは分かってきているが、Grayにより考察されたEinstein-like 計量の存在・非存在を示す方法が考えられる。GrayはEinstein計量の条件を弱めたもの、実際、リッチテンソルが、リッチ平行よりも弱い条件の持つ計量を提案している。こような性質を持つ不変な計量が存在するかどうかを調べる。
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