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力学系の平均次元に対する二重変分原理の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K03227
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分11020:幾何学関連
研究機関京都大学 (2022-2023)
九州大学 (2021)

研究代表者

塚本 真輝  京都大学, 理学研究科, 教授 (70527879)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード力学系 / エルゴード理論 / 平均次元 / レート歪み理論 / 正則曲線 / 幾何学的測度論 / エントロピー / 情報理論
研究開始時の研究の概要

「力学系」とは「時系列データ」の集まりである.このデータ達が単位時間あたりにもつ自由度を「平均次元」と呼ぶ.ところで,「時系列データ」の上に確率構造を考えて,情報理論的にそれを研究することも考えられる.「二重変分原理」とは,データが持つ自由度(平均次元)と,データの情報理論的構造との密接な関連を研究するためのアイデアである.
この研究計画では,このアイデアをできるだけ一般の力学系に対して適用できるように整備するとともに,伝統的な数学のなかから自然に出てきた力学系(時系列データ)にアイデアを適用して時に,具体的になにが見えるかを探求する.

研究実績の概要

2023年度の最大の成果は,ブロディ曲線と呼ばれる正則写像がなす無限次元力学系に対して,アノソフ力学系の類似の理論を構築したことである.これはこの研究計画の当初からの最大の目標の一つであった.以下これについて詳しく説明する.
ブロディ曲線のなす力学系上の不変確率測度(すなわち「ランダム・ブロディ曲線」)を調べることを考える.通常のエントロピーは無限大になるので意味をなさない.そこで「レート歪み次元」という量を考察する.これは情報理論の文脈で1990年代に導入されていたものである.まず,ランダム・ブロディ曲線のレート歪み次元が,ある種の「ポテンシャル関数」の積分で上から抑えられることを示した.これは可微分力学系の理論で知られていた「ルエルの不等式」のブロディ曲線に対する類似とみなすことができるものである.さらに,この「ブロディ曲線に対するルエル不等式」の等号を成立させる不変確率測度が豊富に存在することを示した.
この研究の主要な道具は,以前から私が準備してきた「ポテンシャル付き平均次元に対する変分原理」の理論である.これは,アノソフ力学系のエルゴード理論において,「位相的圧力に対する変分原理」が本質的な役割を果たしたことのブロディ曲線理論における類似になっている.これによって,私が開発した新しい変分原理が単なる抽象論ではなく,具体例に密接に結びつき重要な理論である証拠を提示できたと考えている.
以上の理論はRate distortion dimension of random Brody curvesという題の論文としてまとめて,現在学術誌に投稿中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画の当初からの主要目標の一つを達成できた.順調に進展していると言って間違いないはずである.

今後の研究の推進方策

ブロディ曲線に対するエルゴード理論は予想を超えるほど見事にまとめ上げることができた.しかし,もう一つの目標である「平均次元に対する二重変分原理」を一般の力学系に対して完成させることは未解決であり,これを追求していかなければならない.
また,ブロディ曲線の理論が予想以上に大きく発展したため,当初は見えていなかった多くの新しい問題が表れてきた.現時点で出来上がった理論は「一様双曲的な可微分力学系のエルゴード理論」の類似物であるが,「一様双曲性」を弱めた理論に対するブロディ曲線類似は何か?これを考えていく必要がある.おそらくその考察を深めることは,一般の代数多様体内のブロディ曲線を研究することと自然につながっていくはずである.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)

  • [国際共同研究] Sorbonne University(フランス)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Simple proof of the global inverse function theorem via the Hopf?Rinow theorem2024

    • 著者名/発表者名
      Ohkita Shinobu、Tsukamoto Masaki
    • 雑誌名

      Proceedings of the Japan Academy, Series A, Mathematical Sciences

      巻: 100 号: 3 ページ: 17-19

    • DOI

      10.3792/pjaa.100.004

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of waist inequality to entropy and mean dimension2023

    • 著者名/発表者名
      Shi Ruxi、Tsukamoto Masaki
    • 雑誌名

      Transactions of the American Mathematical Society

      巻: 376 ページ: 8173-8192

    • DOI

      10.1090/tran/9002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] New approach to weighted topological entropy and pressure2022

    • 著者名/発表者名
      TSUKAMOTO MASAKI
    • 雑誌名

      Ergodic Theory and Dynamical Systems

      巻: - 号: 3 ページ: 1-31

    • DOI

      10.1017/etds.2021.173

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ウエスト不等式のエントロピーと平均次元への応用2023

    • 著者名/発表者名
      塚本 真輝
    • 学会等名
      力学系セミナー(京都大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Introduction to mean dimension2023

    • 著者名/発表者名
      Masaki Tsukamoto
    • 学会等名
      Analysis and Geometry of Fractals and Metric Spaces: Recent Developments and Future Prospects
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] いくつかの無限次元フラクタルの平均ハウスドルフ次元2022

    • 著者名/発表者名
      塚本真輝
    • 学会等名
      京都力学系セミナー
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 平均次元入門2022

    • 著者名/発表者名
      塚本 真輝
    • 学会等名
      第146回日本数学会九州支部例会 特別講演
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] いかにして力学系を電話で送信するか?2021

    • 著者名/発表者名
      塚本 真輝
    • 学会等名
      第19回岡シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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