研究課題/領域番号 |
21K03229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
久本 智之 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (00748345)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ファノ多様体 / ケーラー・アインシュタイン計量 / 安定性 / モンジュ・アンペール方程式 / 代数多様体 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)Kahler-Einstein計量の量子化を有限次元近似によって理解する エネルギー汎関数によって定義される分配関数を近似的に計算することにより、Kahler-Einstein計量や定スカラー曲率Kahler計量の量子化を与える。 (2)Fano多様体に対しKahler-Ricci流に代表される非線形放物型偏微分方程式の対応物: 最適退化を構成する 最適退化とは、Fano多様体を適切な方向に退化させることでK安定にするというものである。乗数イデアル層を用いた複素解析的なアプローチによって最適退化を構成する研究を行う。
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研究実績の概要 |
Kahler-Einstein 計量と呼ばれる標準的なKahler計量と代数多様体の安定性との関係は重要な問題である。現在は幾何学的フローや幾何学的量子化の視点からこれらの問題にアプローチしている。 今年度は、昨年度後半の研究を引き継ぎ、Kahler-Ricci流とその代数幾何学的な対応物である最適退化について、いわゆる「幾何学的量子化」を用いてこれらを漸近的に構成する研究を行った。Kahler-Ricci流やエントロピー汎関数の幾何学的量子化を定義し、これらの量子化が元のKahler-Ricci流やエントロピー汎関数にどのように漸近するか明らかにした。また、分配関数の収束条件についても一定の所見を得た。 今年度の後半では、反標準束が豊富とは限らない場合に宮岡-Yau型の不等式を拡張する考察を行なった。K安定なFano多様体がKahler-Einstein計量を持つことについては、現在いくつかの証明が知られている。中でも最近K. Zhangよって得られた幾何学的量子化を用いた証明は極めて単純なだけでなく、負の捻じれを持つようなtwisted KEの存在証明にも用いることができる。この結果を応用すれば、反標準束がnefな場合に宮岡-Yau型不等式を拡張できることを観察した。また、対応するコホモロジー類がcscK計量を持つかどうかについても考察を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この分野の最近の進展を受けて、上述した宮岡-Yau型不等式などの、計画外ではあるが大変興味深いトピックがいくつか見つかった。このようなトピックの調査・研究も平行して進めていたため、最適退化の構成や分配関数の計算についてはやや進捗が遅れている。ただし、Kahler-Ricci流の量子化についてはプレプリントを出し、分配関数の収束条件についても一定の所見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
最適退化の幾何学的量子化についてさらに研究を進め、研究計画にあった「最適退化の漸近的構成」および「分配関数の計算」について論文をまとめる。また、この分野の最近の進展を受けて、上述した宮岡-Yau型不等式などの、計画外ではあるが大変興味深いトピックがいくつか見つかっているため、これらの中でも競合性が高いトピックについては優先して研究を行っていく。
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