研究課題/領域番号 |
21K03233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大城 佳奈子 上智大学, 理工学部, 准教授 (90609091)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | Dehn彩色 / minimum number / palette graph / 捩れアレキサンダー不変量 / カンドル / Dehn colors / minimum number of colors / 一般化された捩れアレキサンダー不変量 / 絡み目 / Quandle / 結び目 / 結び目不変量 / 代数系 / コサイクル不変量 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 第一に, カンドルやカンドルの類似または一般化である代数系達において, 絡み目(または曲面絡み目など)に対する有効性の強弱や, 代数系間の類似性, 相違性, 関連性に関する研究,すなわち代数系の整理を行い, 第二に, 既存絡み目不変量の代数系を用いた再定式化を行う.以上のことを遂行するために, 初年度には, コンピューターを新たに取り入れる. また, 本研究遂行のために, 国内外の研究集会に参加し, 研究における情報発信, 情報収集, 意見交換を積極的に行う. さらに, 国際雑誌に研究成果を学術論文として纏め発表する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, 第一に, カンドルやその一般化, 亜種である代数系達において, 絡み目に対する有効性の強弱や, 代数系間の類似性などを明確にすることである. 第二に, 既存絡み目不変量の代数系を用いた再定式化を行い, より強力で扱いやすい不変量の構成を行うことである. そのため様々なカンドルに関係する代数系における不変量の研究が必要不可欠となる. 2022年度は主に以下の研究を行った. (1)Dehn彩色におけるminimum numbers of colors の研究を行った. Dehn彩色はカンドル彩色の一種であるFox彩色の領域版である. Minimum numbers of colors についてFox彩色の場合とDehn彩色の場合において, 累次の性質を持つのか?もし累次の性質を持つ場合, それらはどのように対応するのか?という問題が考えられるが, 本研究でこれら問題に対する部分的な答えを与えることが出来た. Fox p-彩色の場合, minimum numbers of colors は今のところ結び目/絡み目不変量としては機能してない. 一方Dehn彩色の場合, 結び目不変量として機能していることが分かった. この研究は松土恵理氏, 山岸凱司氏の協力の下で行った. また成果を研究集会で発表した. (2)捩れアレキサンダー不変量のカンドル版の正規化について, 2021年度に引き続いて研究を行い, 成果を整理し論文として纏めた. 正規化を行うことで, これまで捩れアレキサンダー不変量では区別できない結び目/絡み目を区別出来る. 例えば結び目とその鏡像との区別等が可能になり, 論文中でそのような例を与えることが出来た. この研究は石井敦氏の協力の下で行った. また成果を研究集会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では, 絡み目に関わる様々な代数系において, 「それらから得られる絡み目不変量間の類似性, 相違性は何か」, 「不変量としての強さにどのような関係があるか」ということについて考える必要がある. Dehn彩色とFox彩色のminimum numbers of colorsの類似性, 相違性については, 2022年度の研究において一つの答えを与えることが出来たが, カンドルに関する代数系やそれらを用いた結び目/絡み目不変量は数多くあり, それらの類似性, 相違性についても, まだまだ研究を進める必要がある. 特に, 当初取り組む予定であった, 「(i )Knot-theoretic ternary quasi-groups (KTTQG)をシャドウバイカンドル理論で完全に解釈することは可能か. 可能である場合, 与えられたKTTQGはどのようなシャドウバイカンドルに対応しているのか. 不可能である場合, KTTQG 理論とシャドウバイカンドル理論の間にある差はどのようなものか. 」「(ii)有向絡み目に対し, カンドルから得られる不変量と対称カンドルから得られる不変量の間には強弱の差があるか. 」という問題についてはまだ手付かずの状態にあり, 今後真面目に取り組む必要があると考えている. 2022年度は体調不良に見舞われることが多くあり, 思うように研究を進めることが出来なかった. そのために研究打合せや研究発表, 情報収集の機会を失うこともあった. また2023年2月から科研費での研究を中断しており, 2022年度全体を通しての研究活動は行っていない.
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今後の研究の推進方策 |
まだ手付かずの状態である以下の問題をはじめ, 本研究の第一目標である「代数系の整理」を進めていく予定である. (i) 「Knot-theoretic ternary quasi-groups(以後, KTTQG と略す)をシャドウバイカンドル理論で完全に解釈することは可能か. 可能である場合, 与えられたKTTQGはどのようなシャドウバイカンドルに対応しているのか. 不可能である場合, KTTQG 理論とシャドウバイカンドル理論の間にある差はどのようなものか.」, (ii) 「有向絡み目に対し, カンドルから得られる不変量と対称カンドルから得られる不変量の間には強弱の差があるか.」 また, カンドル代数を用いた既存絡み目不変量の再定式化は非常に重要であり, より強力かつ扱いやすい絡み目不変量発見に繋がると期待している. そこで次の問題について考え, 「不変量の再定式化, 一般化および応用」を進めていく予定である. (i) 「絡み目に関わる様々な代数系を用いた既存絡み目不変量の再定式化や計算の単純化を与えることは可能か」, (ii) 「曲面絡み目, 仮想絡み目, 空間グラフやハンドル体絡み目に関わる様々な代数系を用いた既存絡み目不変量の再定式化や計算の単純化を与えることは可能か」. また, 本研究遂行のために, 国内外の研究集会や国際会議に参加し, 研究における情報発信, 情報収集, 意見交換を積極的に行う. さらに, 国際雑誌に研究成果を学術論文として纏め発表する.
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