研究課題/領域番号 |
21K03239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田所 勇樹 木更津工業高等専門学校, 基礎学系, 准教授 (10435414)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | リーマン面 / モジュライ空間 / 超リーマン面 / 位相的漸化式 / 周期 / 離散リーマン面 / 写像類群 / 反復積分 |
研究開始時の研究の概要 |
リーマン面とは,閉曲面上に複素構造を導入した曲面である.そのモジュライ空間とは,リーマン面の複素構造全体からなる集合である.リーマン面とそのモジュライ空間は数学や物理学における重要な研究対象である.周期とはリーマン面上の1次微分形式の積分であり,複素構造によって変化する.本研究の目的は,モジュライ空間の局所的な構造を,周期を利用して理解することにある.超リーマン面とは,局所座標を追加して得られるリーマン面の拡張であり,超対称性とも関連が深い.離散リーマン面を加えた3種のリーマン面を組み合わせ,周期を用いることにより,新たな複素解析的不変量を導出し,モジュライ空間に関する研究を推進する.
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研究実績の概要 |
リーマン面とは複素1次元多様体である.モジュライ空間とは,リーマン面全体を双正則同型により同一視した空間である.複素解析学,微分位相幾何学,代数幾何学,物理学など様々な分野において,重要な研究対象とされてきた.本研究の目的は,モジュライ空間の局所的な構造を定量的に理解することにある.モジュライ空間に対して自然に定まるヴェイユ・ピーターソン体積が満たす漸化式をミルザハニが発見し,その拡張として位相的漸化式が定まる.超リーマン面は超対称性をもったリーマン面の拡張であり,モジュライ空間上の積分である散乱振幅について,ある種の有限性を持つことが知られている.物理学者を中心に研究されてきたが,近年数学側からの研究も活発に行われている.離散リーマン面とは閉曲面上の埋め込まれたグラフに離散複素構造を導入したものであり,分割を細かくしていくと通常の複素構造に近づく.本研究では,複素構造に依存して定まる周期,調和体積,調和的マグナス展開を,閉・離散・超リーマン面に対して求める.位相的漸化式を通じて,新たな複素解析不変量の導出を試みる. 本年度は,離散リーマン面上の頂点上の複素数値関数に関する共同研究をオンラインで定期的に行った.通常の正則関数に対して定義されるシュワルツ微分の離散化を試みた.離散シュワルツ微分を定義し,連続な場合と同様の性質を導いた.また,組みひも群や曲面の3角形分割と関連する群に関する共同研究を定期的に行った.以上の研究について,招待講演を含む研究集会において,口頭発表を行った.超リーマン面の周期行列などのモジュライ空間上の複素解析的不変量に関する論文を精読した.研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」を共同開催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
離散リーマン面上のシュワルツ微分を定義し,いくつかの結果が得られた.組みひも群や曲面の3角形分割と関連する群の研究については投稿予定である.また,研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」を共同開催し,充実した研究交流を実施できた. しかし,明示的な計算例をうまく記述できないため,リーマン面や超リーマン面の周期行列の新たな結果が得られなかった.
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今後の研究の推進方策 |
物理学の手法を参考にして,具体的なリーマン面や超リーマン面の表示方法について研究を進める.周期行列の導出を通じて,離散リーマン面や超リーマン面における複素構造を定量的に理解する.
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