研究課題/領域番号 |
21K03246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 祐二 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 博士研究員 (00647993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ゲージ理論 / 仮想基本類 / 壁越え公式 / 壁超え公式 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,Gromov-Witten不変量やDonaldson-Thomas不変量の理論などにおける仮想基本類の理論の発展に伴い射影曲面上の数え上げ不変量,特に望月拓郎氏によるDonaldson型不変量,Vafa-Witten,不変量および,類似の不変量の研究が新たな展開を見せている.この計画ではより多くの具体例でこれらの不変量の計算を行う.また,理論物理学で予想されているこれらの不変量の生成関数が持つ保型性などの性質や頂点代数との関係などをいくつかの具体的な場合に調べる.より一般の場合を調べるためには厳密な意味で半安定な対象が存在する場合も含めて議論する必要があるためそのための理論的整備も行う.
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研究実績の概要 |
前年度にKuhn氏と共同で射影曲面上の数え上げ不変量の爆発公式を得ていたが,それを用いて射影曲面上の半安定層のモジュライ空間の仮想chi_y種数の生成関数の爆発公式をKuhn氏およびLeigh氏との共同研究で証明した.射影曲面上の半安定層のモジュライ空間の仮想chi_y種数はK理論的Vafa-Witten不変量のインスタントン部分と同一視されるものであり,y=1の場合それはVafa-Witten不変量のインスタントン部分,すなわち,仮想Euler標数を与える. GoettscheとKoolは射影曲面上の半安定層のモジュライ空間の仮想chi_y種数の生成関数が普遍関数とSeiberg-Witten不変量を用いて記述できるであろうという予想を提議し幾つかの例で確認しているが,我々の爆発公式を用いると安定層の階数が2のときは彼らの普遍関数をそれが存在する場合は完全に決定することができる.驚くべきことにそれは物理学的議論を用いるVafa-Wittenらによる生成関数の保型性に関する予想と一致する. また,我々の爆発公式を射影曲面上の他の数え上げ不変量に適用し,いくつかの場合にそれらの生成関数の持つ性質を調べるという研究も進めた.さらに,射影曲面上の数え上げ不変量をいくつかの例で具体的に計算するという研究も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のKuhn氏およびLeigh氏との共同研究をまとめた論文をarXiv上で公開することができた.Gross氏およびJoyce氏と共同で箙の表現のモジュライ空間の基本類の壁越え公式が最近Joyceによって構成されたモジュライ空間のホモロジー上の頂点代数から誘導されるLie括弧積を用いて記述できることなどを示した論文が専門誌の査読を通り出版された.また様々な研究打合せを通して今後の研究の進展に有益な多くのフィードバックを得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度においても, 曲面上の数え上げ不変量およびそれらの生成関数の代数幾何学的研究をさらに進める予定である.また,いくつかの場合に不変量あるいは生成関数を具体的に計算しその結果を物理学者とともに解析するという研究も行う.いずれも国内外の関連する研究者と議論を重ね進めていく予定である.
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