研究課題/領域番号 |
21K03251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
金信 泰造 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00152819)
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研究分担者 |
角 俊雄 九州大学, 基幹教育院, 教授 (50258513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 1次元リボン結び目 / 結び目の対称和 / Jones多項式 / HOMFLYPT多項式 / Q多項式 / Kauffman多項式 / 結び目 / リボン結び目 / 対称和 / 対称同値 / refined Jones 多項式 / 2次元リボン結び目 / ねじれAlexander多項式 |
研究開始時の研究の概要 |
2次元リボン結び目の数え上げと分類を行う.すなわち,(1) 小さい2次元リボン結び目(フュージョン数1,長さ7以下の2次元リボン結び目,および,リボン交点数5以下の2次元リボン結び目)の数え上げと分類を行う.(2) フュージョン数が1の2次元リボン結び目の分類の研究を行う.(3) ねじれAlexander多項式を利用して,2次元リボン結び目の半順序の研究を行う.(4) 2次元リボン結び目のファイバー性の研究を行う.(5) 1次元リボン結び目は対称和の形で表されるか,というLammの問題を軸に,対称和で表された1次元リボン結び目の多項式不変量の研究を行う.
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研究実績の概要 |
3次元空間内の円周の埋め込みである結び目が,4次元空間で円板の境界になるときスライス結び目といい,特に,いくつかの自明な絡み目のバンド和の形のスライス結び目を(1次元)リボン結び目という.1957年に対称和というリボン結び目の構成法が樹下・寺阪により定義された.金信は1984年にJones多項式,HOMFLYPT多項式が同じ無限個の結び目族を対称和により構成した.Lammはすべての1次元リボン結び目が対称和のかたちで表されるか,という問題を2000年に提起し,さらに,12交点以下のリボン結び目を対称和図式(対称和表示で表された図式)で表示することを試みた(2021年).それには多くの対称和で表された1次元リボン結び目の族があげられており,金信が構成した無限族も含まれる.2020年ごろから,これらのうちの個々の無限列のに注目して,まず,向きの付いていない結び目の不変量であるQ多項式が同じ無限列を発見した.2022年は別の無限列おいて,対称同値でない同型なリボン結び目の組からなる2種類の無限列を発見した.
今年度はこの研究の継続を行った.上記のQ多項式が同じ無限列はKauffman多項式により分類した.Kauffman多項式はJones多項式とQ多項式を含む不変量である.しかし,ここで分類したのは数個の無限列のみで,全部の分類はおこなっていない.そこで,分類を完成することを目標にKauffman多項式や,さらには,ホワイトヘッドの2重化をおこなった結び目(ホワイトヘッドダブル)のHOMFLYPT多項式など,いくつかの不変量を計算した.向きが逆の2重ケーブルのHOMFLYPT多項式のスケイン関係式は金信が与えたもの(未発表)を利用した.分類は完成していないが,この計算において,ホワイトヘッドダブルのHOMFLYPT多項式が同じ結び目が発見されたことは一つの成果であると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究の目的として以下の5項目を掲げた.(1) 小さい2次元リボン結び目の数え上げとその分類.(2) フュージ ョン数が1の2次元リボン結び目の分類.(3) 2次元リボン結び目の半順序の研究.(4) 2次元リボン結び目のファイバー性の研究.(5) 2次元リ ボン結び目の切り口となる1次元リボン結び目の多項式不変量による分類の研究.
(1),(2)については,昨年度の成果である,同じ結び目群をもつ2個の2次元リボン結び目の無限列の分類の研究をまとめた論文の執筆し,これを出版した.(5)については,上記『研究実績の概要』で述べたような若干の成果を得た.他の部分については,特段の進展は見られなかった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的に掲げた5項目に沿って研究を進めたい.(1) 小さい2次元リボン結び目の数え上げとその分類.(2) フュージョン数が1の2次元リボン結び目 の分類.(3) 2次元リボン結び目の半順序の研究.(4) 2次元リボン結び目のファイバー性の研究.(5) 2次元リボン結び目の切り口となる1次元リボン結び目の多 項式不変量による分類の研究.
(1)については,フュージョン数1,長さ6以下については数え上げと分類が完了し,高橋功多との共著論文も出版されたが.フュージョン数1,長さ7 の数え上げと分類は2021年度に完了しており,これを整理して,まとめる作業が残っている.(5)については,引き続きLammが与えた対称和で表された1次元リボン結び目の表について,多項式不変量による分類の研究を継続したいと考えている.
さらに,最近,対称和以外でJones多項式,HOMFLYPT多項式,Q多項式を共有する様々な結び目の組みで興味を引くものをいくつかの文献において見つけたので,研究を開始したところである.
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