研究課題/領域番号 |
21K03256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小川 竜 東海大学, 理学部, 講師 (90759143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Liouville領域とWeinstein領域 / 接触収縮性とLiouville多様体の懸垂構成 / 凸接触構造と過旋性 / Liouville力学系と接触力学系 / Liouville構造とWeinstein構造 / Weinstein構造, Liouville構造 / Liouville力学系, 接触力学系 / 理想境界, 接触構造 / 測地流, 葉層構造 / ホモトピー原理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではシンプレクティック構造の中でも重要なクラスであるWeinstein構造とLiouville構造の柔軟性・剛性現象をトポロジー・力学系的な視点から解明する. とりわけ、測地流由来のLiouville構造について、そのシンプレクティック同相型および理想境界に現れるの接触構造に関する諸問題の解決に取り組む. これまでに代表者らによって得られた結果を精密化することでWeinstein構造・Liouville構造に関する未開拓領域に挑戦する.
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研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、凸シンプレクティック多様体のLiouville構造とWeinstein構造の差異を明らかにすること、そのための研究手法を開発することである.
(1) 凸シンプレクティック多様体のWeinstien性に関する論文「Stabilized convex symplectic manifolds are Weinstein」について、その内容を整理し、新たに概念を導入するなどして、以下のような進展を得た. (a)凸シンプレクティック多様体のLiouvilleクラス・Weinsteinクラスを定義して問題を定式化することで、今後の研究の方向性をより明確なものにした. (b)我々が得た最も一般的な形の主張が適用できる具体例を増やした. (c)主定理の系として、Euclid空間上の任意のLiouville構造の安定化は標準的なものにシンプレクティック微分同相であることを示した. 以上の内容について、各所で研究発表をおこなった. 特に日本数学会2023年度年会トポロジー分科会において特別講演をおこなった.
(2) 接触多様体の収縮性と懸垂型Liouville領域に関する研究に取り組んだ. 具体的には、収縮性を持つ接触多様体のタイト性/過旋性について詳しく検証した. 特に接触多様体のLiouville超曲面はタイト近傍を持つことが分かった. 接触多様体が3次元の場合についてはGirouxによる判定法、5次元以上では接触ホモロジーによる証明が知られているが、それらとは全く別の手法に基づく証明という点で新しい. さらに、これまで殆ど調べられてこなかった高次元接触多様体の普遍的タイト性や、凸接触構造における過旋性についても結果を得ることができた. ここで用いた議論は、一般次元に対して展開されるものであり、今後の接触トポロジーの研究に新たなアプローチを与えることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に述べた研究の推進方策に従って、接触多様体の収縮性と懸垂型Liouville領域に関する研究をさらに押し進め、一定の結果を得ることができた. 今年度はこの内容に時間をかけたため、Liouville力学系に関する課題についてはあまり検討する余裕がなかった. しかし、接触構造・接触力学系の研究を進めることは、Liouville構造・Liouville力学系に関する研究を次のステージに押し上げるための重要なステップとなる. 開始時の計画とは多少のずれが生じているが、引き続きこの方向で研究を遂行することで、計画全体を進めることができると考えている. 以上の理由から、概ね順調に進展していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 今年度までに得られた接触多様体の収縮性に関する結果を、Liouville領域の研究に応用する. これまで知られていない形のLiouville領域を構成できることが期待される. また、ここで得られたものが異種的であるか否かを示すには、擬正則曲線を用いた手法の開発が不可欠になると考えている. 申請時の研究計画・方法に従い、並行して研究を進める.
(2) McDuffの例の安定化として得られるLiouville領域がWeinstein型であるか否かを検証する. 現時点では次の二つのアプローチを考えている. (a)Honda-Huangによる凸超曲面論で用いられているプラグ構成を双曲閉曲面上の測地流に付随する力学系に対して適用する(Breen-Cristian, Eliashberg-Pancholiの仕事も参考にする). これは肯定的な結果を得るための研究方針である. (b)Liouville領域の境界に現れる5次元接触多様体(単位余接束と球面の直積)の接触オープンブック分解を、必要なら少し一般的な立場から考察し、それがどのようなシンプレクティック充填を許容するのかを調べる. これは否定的な解決も見据えた上での方針である. 肯定的・否定的、双方の可能性を想定しながら研究を遂行する.
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