研究課題/領域番号 |
21K03264
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
筧 知之 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70231248)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | スナップショット問題 / 波動方程式 / ユークリッド空間 / 対称空間 / コーシー問題 / 合成積作用素 / 幾何解析 / 逆問題 / 積分幾何 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、対称空間上の合成積作用素に関する幾何解析的性質について調べる。特に全射性、単射性について研究を行う。本研究の特色は、合成積作用素をフーリエ変換が定義できないようななるべく大きな関数空間上での作用素として扱う点である。次の段階として、反転公式の具体的な構成法について考察を行う。そして、得られた結果を積分幾何や逆問題へ応用する。特に、平均値作用素に対する逆問題へと応用する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、引き続きユークリッド空間および対称空間上の波動方程式に対するスナップショット問題に取り組んだ。 概要は以下の通り。簡単のためにユークリッド空間の場合のみを述べる。ユークリッド空間上の波動方程式に関して、異なるm個の時刻において解のデータが与えられるものとし、それらm個のデータから、波動方程式の解を再構成できるか?という問題をスナップショット問題と呼ぶことにする。これに関して、次の結果を得た。2個のスナップショット問題の解は、ある整数時間上に於いてのみ決定できる。また、3個のスナップショット問題の解は、スナップショットを取る時間差の比がリュービル数でない無理数の場合のみ、かつ、スナップショット・データがある種の両立条件を満たす場合、かつその場合にのみ、一意に決定できる。次に、その意義について説明する。波動方程式を含むより一般の微分方程式は、コーシー問題の枠組みにおいてのみ研究されてきた。しかし、スナップショット・データを与えて解を求める方がより実用的である。しかし、この枠組みでの研究は、奇妙なことに、今まで存在せず、本研究が初めての試みである。また、スナップショット問題の解の構成に数論で研究対象となるリュービル数が関与していることを明らかにした点、また、関連する深い代数構造が背後に存在することを明らかにした点、で意義があり、かつ、重要で独創的な結果と言える。本研究の研究成果は、幾つかの(国際)研究集会で発表すると同時に、成果をまとめた50ページの論文が、権威のある数学の国際学術誌Advances in Mathematics の444巻に掲載された。尚、本研究は、F. Gonzalez, J. Christensen, J. Wang 以上3氏との国際共同研究であることを付記しておく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の実績で述べたように、研究計画に沿って、波動方程式に対するスナップショット問題を完全に解決し、かつ、その成果をまとめた論文を、権威ある数学の学術誌に掲載できたため、研究は順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究のアイディアおよび方向性は当初の予定通りとし、合成積作用素の幾何解析的研究を行い、かつ、その応用の可能性を探る。 当初の研究計画では、海外の共同研究者との研究連絡、および、海外の国際研究集会での成果発表のために、数回の外国出張を予定していた。しかし、予想外の急激な円安および外国(主にアメリカ合衆国)での物価高により、そうした出張旅費の本科学研究費による支出が困難になった。そこで、共同研究者とは、ZOOMなど、オンラインで研究連絡を行い、国際研究集会での発表も、可能であればZOOMで行う、というやり方に切り替える。但し、外国出張を伴う成果発表が真に必要と判断した場合、1回程度の外国出張は検討している。
|