研究課題/領域番号 |
21K03266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
千葉 優作 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90635616)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ケーラー多様体 / ボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体 / ボーア・ゾンマーフェルト ラグランジュ部分多様体 / モンジュ・アンペール方程式 / ラグランジュ部分多様体 / ボーア・ゾンマーフェルト条件 / 複素幾何学 / シュタイン多様体 / カレント |
研究開始時の研究の概要 |
射影代数多様体上の超曲面といった代数的な対象に関して成り立っていた定理が、ケーラー多様体やシュタイン多様体の正定値閉カレントでも成り立つかを研究する。射影代数多様体の場合は、レフシェッツの超平面定理は正定値閉カレントでも成り立つことが既存の研究で知られている。このような定理がさらに超越的な状況、つまり代数的ではない状況で成立することを示すことが本研究の目的である。他にも正定値閉カレント上の正則関数の拡張定理についても研究する。
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研究実績の概要 |
ケーラー多様体上の前量子化束に対するボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体の漸近的な性質を研究した。前量子化束のテンソルを繰り返しとり、その回数を増やしていくとボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体の近傍上の解析的な性質が部分多様体へと収束する現象が多く知られており、これは古典的な物理学が量子論的な物理学へと変わる現象、すなわち量子化を表していると考えられている。このような現象をよりよく理解することがこの度の研究の目的であり、特にボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体の近傍上の熱核が、なんらかの形に収束しないかを調べた。熱核のテンソル積をとっていった時の収束は、点においては複素幾何で大変研究されており、特に解析的モース不等式を導くための重要なステップである。このような研究を踏襲し、点ではなくボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体上でどのようになるかを研究した。現在までに、ケーラー計量が解析的な場合には前量子化束の共変微分が適当なスケーリングにより、ボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体の余接ベクトル空間上の自然な一形式へと収束することが示された。このことより、熱核の収束先は部分多様体に固有な性質で表されると考えられる。また、使われたスケーリングは余接ベクトル束をファイバー方向へと定数倍するもので、これは正則なスケーリングではない。そのため複素構造を変形しているとも考えられ、ケーラー多様体上の偏極をケーラー偏極から実偏極への変形と対応していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前量子化束とボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体上の漸近的な挙動を調べており、熱核に焦点を当てて研究が進んだ。他にもケーラー計量や部分多様体が解析的な場合に存在する、性質の良い葉層構造についての理解が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きボーア・ゾンマーフェルトラグランジュ部分多様体と漸近的な熱核的な性質を調べる。また他の幾何学的量子化についての文献をあたり、ケーラー多様体上の偏極がケーラー偏極から実偏極へと移り変わる際と、余接束のスケーリングとの関係を調べていく。
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