研究課題/領域番号 |
21K03270
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高山 信毅 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30188099)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 多変数超幾何関数 / Feynman積分 / 数値解法 / 統計分布 / 数値計算 |
研究開始時の研究の概要 |
ガンマ関数, 不完全ガンマ関数は古典的な特殊関数論の大きな研究テーマであった. 一方, 古典的な統計学の検定論においてもこれらは中心的役割をはたす. したがって, 現代的な多変数超幾何関数論は現代統計学においてやはり重要な役割をはたせるのであろう. その役割をはたすためには ``多変数超幾何微分方程式の解の大域挙動の研究と精密な数値評価'' が大きく進展する必要がある. 本研究は, 多変数超幾何微分方程式の解の大域挙動を明らかにし, それを用いて多変数超幾何関数の精密な数値評価を可能にすることを目的とする.
|
研究実績の概要 |
Feynman摂動展開にあらわれる積分を次元正則化した一般化 Feynman 積分は GKZ 超幾何関数で表現できる. GKZ超幾何関数はholonomic系を満たしその方程式の具体形が知られているが, その方程式系に付随する全微分方程式系(Pfaffian方程式)の具体形は知られていない. さまざまな 1-loop diagram に付随する一般化 Feynman 積分のみたす全微分方程式(Pfaffian方程式)を効率的に求める手法---Macaulay matrix の方法を研究し, その実装およびアルゴリズムの詳細を説明した論文を公開した. この方法ではPfaffian方程式の係数行列成分の有理式が計算量の限界を超えてしまい計算できなくても評価したい点を与えれば係数行列の数値を決定できる. この方法は漸化式による値の計算や微分方程式の数値解法を適用した積分の計算にも利用できる. この方法を活用して統計に現れるGKZ系のcontiguity relation の生成, たとえば 4-cycle model の数値contiguity relation の導出をおこなった. GKZ系はパラメータを一般に設定してあるため扱いやすいholonomic系であるが, Feynman積分や統計の正規化定数ではこれらのパラメータが多様体上に制限される. GKZ系やより一般にholonomic系のパラメータを制限する確率算法を開発し, それにより rank が100以上のGKZ系でも制限計算が可能となった. たとえば double loop 0 mass モデルに対する Feynman 積分が満たすPfaffian方程式をこの制限計算アルゴリズムで導出した. またHornの超幾何系に対してその特異点である超曲面への制限の計算も可能になった. この制限を利用し超曲面の上の正則解の数値計算がうまくいくことを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
holonomic系の制限を計算する確率算法を与えた. この手法は非常に効率的であり, 今まで計算ができなかったPfaffian方程式が導出可能となった.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の今後の予定として下記を挙げたが制限計算手法の研究が大きく進展したため, 下記の問題に取り組むことができなかった. 本年度は再びこの問題に取り組みたい. 申請時に挙げた問題3: 【接続公式の研究を大域的な数値計算に活かすこと】の研究を開始したい. また問題2を考察する仮定で Trefethen らが提案するチェビシェフ多項式を用いた微分方程式の近似解の計算はとても優れた方法であることを知った. この手法の多変数化も研究したい.
|