研究課題/領域番号 |
21K03277
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
金子 宏 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (90194919)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | チップファイアリング / リーマン・ロッホの定理 / 荷重付きグラフ / マルコフ過程 / ディリクレ形式 / 無限グラフ / 確率過程 / 複素幾何学的特性量 |
研究開始時の研究の概要 |
重み付き無限グラフ上でのリーマン・ロッホの定理を、グラフにおけるポアンカレの不等式の有用性に注目して研究し、得られらた成果を海外での研究集会で招待講演として発表したり、ジャーナルに投稿するなどしてきた。しかし、ポアンカレ不等式の成立条件として、グラフ上のランダムウォークにかなり強い条件をおいているとみられる。このことを建設的起点と捉え、より緩い条件下で、リーマン・ロッホの定理を示し、ディリクレ形式のモスコ収束に類する収束とリーマン・ロッホの定理に現れる概念との関係を論じるなど、グラフの複素幾何学的特性量に対して、ディリクレ形式やグラフ間のモルフィズムを根底に置いたアプローチを行う。
|
研究実績の概要 |
単行本 Advances in Non-Archimedean Analysis and Applications : The p-adic Methodology in STEAM-H が, 「A Riemann-Roch Theorem on Infinite Graphs」 という題目の代表者が著者に含まれる共著論文を含む形で2021年12月2日に刊行された.内容は局所有限な無限グラフでのリーマン・ロッホの定理が得られたことについてである.年度の初めに集中的に研究を行ったところ,超距離空間においてのリーマン・ロッホの定理の証明が見出されたので,その内容について,オンライン研究集会「Eighth international conference on p-adic mathematical physics and tis applications 」に於いて 「Chip-firing on ultrametric space and Riemann-Roch theorem」という題目にて,2021年5月26日に講演を行った.さらにオンライン研究集会「2021年度多変数関数論冬セミナー」に於いて,「超距離空間におけるチップファイアリングとリーマン・ロッホの定理」という題目で,2021年の12月9日に講演を行った.これらの成果は,いずれも慶應義塾大学の厚地淳氏との共同研究である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全グラフにより汲み尽くされる無限グラフにおいて,リーマン・ロッホの定理が成立するとは,既存のリーマン・ロッホの定理に関する研究が,有限グラフか局所有限グラフであることから困難だと考えていたが,チップファイアリングを構成する基本的な関数族を,超距離空間における確率過程の構成定理において以前代表者が採用していた二乗可積分な関数族としておけば局所有限グラフで良いことがわかったので,研究計画当初から念頭においていた困難を克服する方法が見出せたといえる.このような困難の克服がなされ得ないという想定に基づき研究計画が設定されていたので,当初の研究計画に含まれていなかった方向とは別方向ではあるが,当初の計画と同等程度の進展があったと言える.
|
今後の研究の推進方策 |
無限完全グラフは概ね正の曲率をもたせうるグラフと捉えられている一方,無限グラフとしてのツリーは概ね負曲率をもたせうるグラフとのコンセンサスが得られているようである.これらは,それぞれ局所有限ではないグラフと,局所有限性があるグラフの代表例である.曲率との関係においてどういう場面でリーマン・ロッホの定理が主張されるか,などを幾何学的,もしくは複素関数論的に考察することを目標の1つにしうる状態にまでなってきている.これを念頭に当初の研究計画を適宜柔軟かつ発展的にみなおし,引きつつき初年度の研究成果を踏まえて今後の研究を遂行していく.
|