研究課題/領域番号 |
21K03280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
戸松 玲治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70447366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | von Neumann環 / C*環 / テンソル圏 / 量子群 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒルベルト空間上の有界な線型作用素のなす作用素環を研究している.本事業期間では,作用素環への群や量子群といったものの作用を研究する.そのような作用は環の対称性をあらわしており,作用素環の性質を調べる上で中心的な課題の一つである.量子群は群のある意味での一般化である.別の一般化としてテンソル圏というものがある.最近はテンソル圏を使って作用素環がとてもよく調べられており,本事業期間でもテンソル圏と作用素環の関係について研究する.
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研究実績の概要 |
2023年度は主にIII型因子環の研究を行った.III_1型因子環には,各正規状態に双中心化環と呼ばれる部分因子環が付随する.この部分因子環は,自明かIII_1型因子環のどちらかであることが知られている.コンヌは40年ほど前に,双中心化環は常に自明であるだろうかという問い,現在までに多くの研究者が結果を出してきた.この予想は一見すると何故重要なのかよくわからないものなのであるが,III_1型因子環のいろいろな性質を導く際に,どうしても相手にしなくてはならないという,本質的な性質を言い当てているものであると言える.しかし現在でも反例も発見されず,肯定的証明もできず,コンヌの予想は未解決のままである.近年双中心化環は,モジュラー自己同型群以外の,その双対的な実数群の作用を有することが発見され,それが作用素環の構造と密接に関係していることがわかってきている.特に,その双中心化流はエルゴード的であることが知られている.このことは,双中心化環のモジュラースペクトラムの視点から,環がとても非可換であることを示している.私は,これが弱混合的か,などの問題に興味を持ち研究を行っている.またコンヌの予想を肯定的であることと,あるC*環の表現論を調べることが同値であることを示した. テンソル圏に関しては,位数の低い有限群をisocategorical同値で分類することを考えており,位数が2ベキの有限群について調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
双中心化流について,幾つかの知見を得ることが出来た.実数群に離散位相を入れた場合には,コンヌの予想のアナローグは正しいことは分かったが,連続位相ではまだ手に負えない難しさがある.
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今後の研究の推進方策 |
今後は双中心化流とモジュラー自己同型群について,よりよく理解すべく,C*環のアプローチやスペクトル理論のアプローチを考えていく.有限群の表現圏については,低位数の場合に不変量を用いながら分類リストを作っていく.
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