研究課題/領域番号 |
21K03284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本多 尚文 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00238817)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多重強漸近展開 / Gevrey級 / 極大過剰決定系 / 多重特殊化 / 多重超局所解析 / 漸近解析 / D加群 / 多重超局所化 / Gevreyクラス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、偏微分方程式系の多重強漸近展開可能解のより詳細な漸近挙動を解析する為にGevrey級の多重強漸近展開可能層を導入し、その性質を研究する。また、偏微分方程式系のGevrey級多重強漸近展開可能な解のなす層に対し順像定理や逆像定理を示すことで、異なる多重強漸近展開可能解の相互の関係を明らかにする。これらの結果を用いることで極大過剰決定系の多重強漸近展開可能解に関する存在定理等の基本的な性質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
多重強漸近展開可能層は、研究代表者らが導入した複数の部分多様体に沿って同時に漸近展開が可能な正則関数のクラスである。本研究課題では、まずGevrey級の多重強漸近展開可能層を導入し、それ自身の性質を明らかにする。続いて偏微分方程式系のGevrey級多重強漸近展開可能な解のなす層に対し順像定理や逆像定理を示すことで、異なる多重強漸近展開可能解の相互の関係を明らかにする。最終的には極大過剰決定系の多重強漸近展開可能解に関する存在定理等の基本的な性質を明らかにすることが目標である。 この研究においては、基礎となるGevrey級Whitney関数のなす層の高次大域的コホモロジー群の消滅を示すことが重要な鍵となる。当初、この消滅定理を示すことは、古典的層において軟層であれば高次大域的コホモロジーが消滅するという事実の類似により簡単に示すことが出来ると考えていた。しかしながら、研究を進めた結果、subanalytic site上の層に関してはこの消滅定理は決して自明なことでないことが判ってきた。 そこで、当該年度においては、まず、古典的層における軟層の概念に相当するsubanalytic site上の層の概念を見出すことと、その条件下で消滅定理を示すことを目標とした。研究の結果、幾つか軟層に相当する概念の候補を見出し、それらの条件下では消滅定理を示すことができた。これらの条件は、比較的広い範囲のsubanalytic site上の層に対して成り立つ性質であるが、残念ながら、この研究に必要なGevrey級のWhitney関数の層は満たさない性質であることも判った。 より弱い条件について考察を進めているが、現在のところ消滅定理を示すまでには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
このように判断した理由は以下の通りである。 まず、研究実績の概要でも述べたように、当初は簡単に示すことが出来ると考えていた、Gevrey級のWhitney関数の成す層の高次大域的コホモロジー群の消滅定理がsubanalytic site上では決して自明なことではなかったことである。このことを示すためには新しい概念や手法・アイデアが必要となり、多くの研究上の労力と時間を必要とした。しかも、未だ完全な結論には至っておらず更なる時間を必要としている。これは、当初の研究計画では全く予期していなかったことである。 次に、新型コロナウイルスの影響で研究打ち合わせが十分にはできなかったことが挙げられる。研究打ち合わせが十分にできなかったことは想定していた以上に研究の進捗を遅らせているというのが実感である。 以上から、研究の進捗状況は「遅れている」と結論するのが妥当と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、懸案の問題である「subanalytic site上でもGevrey級のWhitney関数の成す層の高次大域的コホモロジー群の消滅定理」を示すことを最優先の課題として研究する。これを解決し、当該研究の目標全体を達成することは難しいかもしれないが、「Gevrey級の多重強漸近展開可能層を導入し、それ自身の性質を明らかにする」という目標は達成したいと考えている。 新型コロナウイルスの扱いも変更となりより積極的な研究打ち合わせが行えることが次年度は想定されるので、積極的に他の研究者との研究打ち合わせを行い目標の達成に近づく努力をしたい。
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