研究課題/領域番号 |
21K03287
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田辺 正晴 東京工業大学, 理学院, 助教 (60272663)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 複素解析 / リーマン面 / 正則写像 |
研究開始時の研究の概要 |
リーマン面と呼ばれるものが有る。これは、簡単に言えば、形は、球面、あるいは浮き輪の表面、2人乗り浮き輪の表面、更にはnを任意の自然数としてn人乗り浮き輪の表面、これらのどれかであり、各点の近傍が複素平面上のある開集合と同じと見れるものである。 リーマン面間の写像を考える。各点の近傍が複素平面上のある開集合と同じと見れるから、写像が各点で複素微分可能であるものを考えることができて、この様な写像をリーマン面間の正則写像という。 リーマン面間の正則写像については、単に連続な写像と比べて様々な制限があることが知られていて、この研究では、リーマン面間の正則写像について、新しい定理等を発見してゆく。
|
研究実績の概要 |
コンパクトリーマン面間の,正則写像の数の種数にのみ依存する上界の改良、コンパクトリーマン面間の2つの正則写像の一致点の性質について研究を進めた. 特に,種数2以上のコンパクトリーマン面間の正則写像について,ホモロジー群間に誘導される準同型による表現の研究を行った.その結果,正則写像fが非分岐かつ位数が素数である場合は,始集合となるリーマン面をXとすると,X上の1つの自己同型Tにより生成される巡回群<T>によりXを割ることにより正則写像は,f:X to X/<T>と表されることが示せた.これは,以前示した結果, 「種数2以上のコンパクトリーマン面X, Y間の正則写像の位数が素数であるとき,ホモロジー群間に誘導される準同型による表現は,X, Yで標準ホモロジー基底をうまく取れば,2つの行列表現のうちどちらかになる.」を発展させたものとなる.X, Yで標準ホモロジー基底をうまく取り,限られた行列表現に帰着させるという問題は,もともとはリーマン面の周期行列のreductionに関するポアンカレの研究から派生したものである.その後,H.H. Martensにより,「種数2以上のコンパクトリーマン面X, Y間の正則写像の位数が素数であるとき,ホモロジー群間に誘導される準同型による表現は,X, Yで標準ホモロジー基底をうまく取れば,いくつかの行列表現のうちどれかになる.」ことが示されていた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度から当該年度前半にかけて,コロナ禍の影響により内外の研究者との直接の交流が限られ,アイデアや意見の交換が出来にくかったこともあり,なかなか新しい成果が出なかった. しかし,研究実績の概要にも書いたように新しい発見も出たきたので,現在までの進捗状況はやや遅れているとする.
|
今後の研究の推進方策 |
種数2以上のコンパクトリーマン面間の正則写像について,ホモロジー群間に誘導される準同型による表現について研究を行った.その結果,正則写像fが非分岐かつ位数が素数である場合は,始集合となるリーマン面をXとすると,X上の1つの自己同型Tにより生成される巡回群<T>によりXを割ることによりfは,f:X to X/<T>と表されることが示せたので,この結果を位数が素数とは限らない場合に拡張できないかを考える. 拡張のされ方によっては,種数2以上のコンパクトリーマン面X, Y間の非分岐正則写像の数を,Xの種数のみを変数とする多項式により上から評価出来ると思うので,それについても研究を進める. 研究当初の課題,コンパクトリーマン面間の,非分岐とは限らない,正則写像の数の種数にのみ依存する上界の改良、コンパクトリーマン面間の2つの正則写像の一致点の性質についての研究についても取り組んでゆく.
|