研究課題/領域番号 |
21K03300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
廣瀬 三平 芝浦工業大学, デザイン工学部, 准教授 (20743230)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 完全WKB解析 / 微分方程式 / 振動積分 / Borel総和法 / Stokes集合 / 高次留数形式 / Stokes幾何 / ADE型特異点 |
研究開始時の研究の概要 |
特異摂動型微分方程式のWKB解と呼ばれる発散級数解に、Borel総和法を用いて解析的意味付けを与え、これを用いて解析するのが完全WKB解析である。本研究では、Airy方程式やPearcey系を一般化した振動積分の満たす微分方程式についての完全WKB解析を行い、高階常微分方程式や偏微分方程式系についての理解を深めることを目的とする。特に、WKB解のBorel総和可能性やその大域的構造を記述するStokes幾何について新たな知見を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに原点に孤立臨界点を持つ重み付き斉次多項式を適切に変形した多項式を相函数とする振動積分の満たす微分方程式のWKB解はStokes集合と呼ばれる半代数的集合以外の点においてBorel総和可能であるという結果が得られていた。また、これに関連して、Lefschetz thimbleを積分路とする振動積分は適切に正規化したWKB解のBorel和と一致することがわかっていた。さらに、WKB解を用いると、原始形式の理論で用いられている高次留数形式の微分方程式における類似物を定義できていた。このことを踏まえて2023年度は次を行った。 1)Airy方程式やPearcey系の一般化であるA型特異点を持つ多項式の普遍変形である多項式を相函数とする振動積分の満たす微分方程式に対して、これまでに得られていた結果を論文にまとめた。 2)WKB解のBorel和をLefschetz thimbleを積分路とする振動積分を用いて表示し、これを利用して振動積分の性質をWKB解のBorel和の性質に翻訳した。特にWKB解に対してどのようなStokes現象が起こるかを調べた。また、Lefschetz thimbleを積分路とする振動積分と一致するWKB解の正規化の取り方について具体的な例を用いて考察した。 3)高次留数形式の微分方程式における類似物を具体例に対して調べた。また、原始形式をこの類似物を用いて微分方程式の観点から考察した。 以上とは少し観点が異なるが、Stokes集合を主題とした著書の執筆に関連して次を行った。 4)Pearcey系、および(1,4)型の2変数超幾何系の制限として得られる常微分方程式の二重変わり点に関係する周期を調べた。特に常微分方程式をBorel変換して得られる偏微分方程式の陪特性帯とその分岐との関係、および周期の積分表示について議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究として予定していた、これまでの仮定を満たさない函数を相函数とする振動積分の満たす微分方程式に対して考察を行うことは、先行研究の調査のみとなり進展はなかった。しかし、WKB解のBorel和のStokes現象や微分方程式における高次留数形式の類似物についての考察を進めることができただけでなく、これまでほとんど議論が行われていなかった二重変わり点に関係する周期についても新たな知見を得ることができた。このことより「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの仮定を満たさない函数を相函数とする振動積分の満たす微分方程式に対し、そのWKB解のBorel総和可能性、およびWKB解のBorel和のStokes現象について研究を行う予定である。また、微分方程式における高次留数形式の類似物の性質を具体例に対して調べる。さらに、原始形式についても微分方程式の観点からの考察を進める。
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