研究課題/領域番号 |
21K03302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
梁 松 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60324399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ブラウン運動 / 拡散過程 / 古典力学系 / 拡散過程の収束 / 強ポテンシャル / 極限過程 / 確率論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、特異性を持つ場合において、ノン・ランダムな古典力学系による拡散過程の導出を目的とする。具体的には、理想気体環境に置かれた重粒子が、環境軽粒子と古典力学法則に従って相互作用しながら動くというモデルを考える。特異性が存在しても、一定の条件の下で、軽粒子の質量が0に収束するとき、重粒子の挙動(位置と速度)の極限として拡散過程を導出することにより、拡散過程のより自然な古典力学系モデルを解明することが目標である。
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研究実績の概要 |
「拡散過程の古典力学系による導出」という研究課題において、環境軽粒子の初期エネルギーの下限について条件を課さない場合について研究した。具体的には、一つの重粒子を理想気体と呼ばれる無限個の軽粒子を含む環境に入れ、すべての粒子の動きは古典ニュートン力学の運動法則に従うという古典力学モデルを考える。重粒子と軽粒子の間の相互作用はコンパクトな台を持つ十分滑らかなポテンシャル関数によって与えられ、斥力であるとする。軽粒子の質量が 0 に収束とき、速度と密度はそれに伴い一定のオーダーで無限大に発散する。このモデルに対して、重粒子の位置と速度を表す確率過程の極限を研究した。 軽粒子の初期エネルギーが十分高い場合、重粒子との相互作用は軽粒子の運動方向と速度を少ししか変えられず、軽粒子の速度の初期方向速度における成分がある程度保ったまま非常に短時間で相互作用有効領域を通過する。よって、軽粒子の挙動は、重粒子が動かないものとして得られる「凍結近似」で近似することができる。 しかし、より現実と合うモデルを与えるために、初期エネルギーが低い軽粒子も存在するモデルを考える必要がある。この場合、軽粒子の相互作用有効領域における滞在時間は非常に長くなる可能性があるため、凍結近似をそのまま適用することはできない。 今年度は、上述の低初期エネルギーを持つ軽粒子が存在するモデルを考え、一定の条件の下で、次元数が十分高ければ、重粒子の位置と速度を表す確率過程はある拡散過程に収束することを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定として、ブラウン運動の特異性がある古典力学系による導出という研究課題において、粒子間相互作用を与えるポテンシャル関数が有界であるモデルを考え、初期エネルギーが非常に低い軽粒子が存在する場合について、重粒子の位置と速度を表す確率過程の収束を証明することを目標としていた。今年度は、これを達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
ブラウン運動の古典力学系による導出という研究課題において、粒子間距離が 0 に近づくとき、ポテンシャル関数が無限大に発散する、即ち粒子間斥力が非常に強くなるという特異性を持つモデルを考えることも必要である。
今後の研究予定としては、このポテンシャル関数が原点の近くでは発散するようなモデルについて、軽粒子の質量が 0 に収束するとき、重粒子の位置と速度を表す確率過程の極限を研究する予定である。このようなモデルにおいて、ポテンシャル関数は有界ではないので、軽粒子の初期エネルギーが「十分」高いという概念がなくなり、今までの理論を再構築する必要がある。特に、個々の軽粒子の総エネルギーを評価することからこの研究を展開する予定である。
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