研究課題/領域番号 |
21K03309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 龍谷大学 (2023) 京都教育大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
深尾 武史 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00390469)
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研究分担者 |
赤川 佳穂 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20881650)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 動的境界条件 / 発展方程式 / Cahn-Hilliard方程式 / 非線形発展方程式 / カーン・ヒリアード方程式 / 粘性消滅法 / 境界拡散 / 偏微分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
Cahn-Hilliard方程式系やAllen-Cahn方程式は相分離/相転移現象を記述し、質量保存則やエネルギー保存/散逸性を持つ偏微分方程式としてよく知られている。しかし、境界条件については主たる方程式を解くための補助条件として、自然な条件の1つであるNeumann境界条件の下での研究が主流であった。本研究では境界条件を補助条件と見なさず、境界上での別の系と見なして境界上での発展系も考察するという視点から境界値問題を捉える。時間微分/境界拡散の有無が持つ意味を数値化しようという発想の下、その強弱の表現に関数空間の指数を用い数学の高い表現力/汎用力を裏付けることを目指す。
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研究実績の概要 |
GMSモデルやLWモデルと呼ばれる動的境界条件を含むCahn-Hilliard方程式の適切性および正則性の議論を応用し、粘性消滅法による漸近解析をこれまで行ってきた。そこから、境界上では一見すると不良設定に見える熱方程式について内部の方程式と共に適切になる場合があることが明らかになってきた。 2020年に発表された、内部がLaplace方程式、境界がAlle-Cahn方程式となるような動的境界条件の設定で同様の粘性消滅法による漸近解析を行うと、内部のLaplace方程式の拡散係数および境界拡散の2つの変数に対する粘性消滅から、内部が2階の熱方程式、境界が2階の前方後方拡散方程式へ収束し、法線方向微分の入り方がより単純な不良設定に見える問題についても適切性が論じられることが分かった。特に、内部のLaplace方程式の拡散係数だけを粘性消滅させた問題はこれまで過去に注目されなかった、内部2階のAllen-Cahn方程式、境界条件がCahn-Hilliard方程式の形をした動的境界条件となる連立系に対する適切性の結果が得られたことを意味する。ただし、収束の誤差評価については解の正則性についての議論が不十分なため、まだ結果が得られていないが、最終年度の課題として取り組む素地が作られた。 数値計算スキームについては空間2次元の場合へGMSモデルの構造保存スキームが拡張され、条件付きではあるがスキームの適切性に関する結果を得た。時間メッシュサイズを空間メッシュサイズに合わせて小さく選べば適切性が得られることは明らかである。そのサイズに関する情報を明確にした点に意味がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の結果を踏まえて、2020年のLaplace-Allen-Cahn方程式からの粘性消滅法による漸近解析に関する研究を前進させられた点には一定の評価ができるが、正則性の議論が不十分で誤差評価の結果にまで至っていない点には改良の余地がある。 一方、数値計算スキームを多次元化できた点については評価でき、数値実験からの予測的研究も前進させられる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
まずは解の正則性についての議論を進め、誤差評価の結果を得る。これにより内部2階、境界2階の前方後方拡散方程式(動的境界条件)の適切性、連続依存性そして、誤差評価の結果が整う。最終年度には誤差評価まで研究を進めることで一連の研究の総まとめとできる。2020年の内部Laplace方程式、境界Allen-Cahn方程式型の動的境界条件の問題はGMSモデルからの接近が可能であった。2020年の結果では解の正則性についての議論が完了しているため、それを一つの近似問題として再考し、2つのパラメータの極限をとることで、2つの問題への接近が可能となる。まずはそれぞれの極限操作について考察する。そして、両方のパラメータの極限を考察し、狙っている前方後方拡散方程式への接近を明らかにする。特に一様評価に戻ることで解の正則性についての議論が明確になり、それを応用した誤差評価の結果へと導く。 また、関連して近年研究が盛んなCahn-Hilliard-Oono方程式ついても動的境界条件との関連研究を進める。
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