研究課題/領域番号 |
21K03313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
眞野 智行 琉球大学, 理学部, 教授 (60378594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 平坦構造 / 微分方程式 / 差分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで線形微分方程式のモノドロミー保存変形についていくつかの研究を行ってきた。特に近年、共同研究者らとの研究において平坦構造あるいはフロベニウス多様体の一般化と大久保型線形微分方程式のモノドロミー保存変形との関係について明らかにした。本研究課題ではこの関係についてさらに深く研究を進める。この対象は一見異なる様々な分野を密接に結び付けるものであり、本研究では離散化も含めたパンルヴェ方程式や可積分系・複素鏡映群の表現論・平坦構造に関わる特異点の変形理論・数理物理など関連する諸分野について、それらを従来よりも深いレベルで結び付けるような理論展開を与えることを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は前年度に引き続き、平坦構造と呼ばれる幾何構造についてそのプレポテンシャルを持たない場合への一般化、および線形微分あるいは差分方程式のとの関係についての研究を行った。今年度の研究内容およびその成果について述べる。 1)本研究課題の最も主要なテーマである平坦構造と線形微分方程式のモノドロミ保存変形との関係について、これまでの研究で得られた成果などをまとめた専門書を執筆し原稿を完成させ出版した。この書籍では、(拡張)大久保型方程式を基礎とした平坦構造の定式化とモノドロミー保存変形やパンルヴェ方程式への応用、well-generatedな複素鏡映群から標準的に導かれる平坦構造の構成とその応用について解説した。その執筆の過程で「3つ組(M,D,Δ)」と「3つ組(M,D,Δ)に対する大久保-斎藤ポテンシャルの空間」という2つの概念が抽出されてきた。これは今後の研究において基礎となる重要な概念である。 2)q-差分方程式の大久保型標準形および平坦構造のq-類似を構成する研究を行った。出発点となるq-差分方程式の階数が2の場合には、平坦構造を構成することができたが、階数が3以上の場合にはいくつかの試みにも関わらず構成ができなかった。特に、階数が3以上の場合には本質的な困難が現れることが分かった。 3)階数3の大久保型方程式に対して、1)で得られた構成を適用すると、パンルヴェ方程式の解に対して3つ組(M,D,Δ)を定義することができ、これはパンルヴェ方程式の解の不変量を与える。昨年度以前に構成したパンルヴェ方程式の超越解に対して3つ組(M,D,Δ)を具体的に構成することを試みた。これについてはまだ進展中であり、確定的な結果は得られていないが、興味深い視点からの研究であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、以前より執筆を進めてきた専門書を完成させ出版することができた。この本はこれまでの研究結果をまとめると同時に新しい視点による定式化を与えたものである。特にこの本の執筆の過程で得られた「3つ組(M,D,Δ)」と「3つ組(M,D,Δ)に対する大久保-斎藤ポテンシャルの空間」という2つの概念が基本的であり、今年度よりこの2つの概念を基礎に置いた研究を開始した。今年度着手した研究は、「q-差分方程式に対する大久保型標準形と平坦構造のq-類似の構成」および「第6パンルヴェ方程式の超越解に対する3つ組(M,D,Δ)の具体形の構成」の2つである。 q-差分方程式に対する平坦構造の構成について、出発点となるq-差分方程式の階数が2の場合には、平坦構造を構成することができたが、階数が3以上の場合にはいくつかの試みにも関わらず構成ができなかった。これは微分の場合には見られなかった困難が(階数3以上のq-差分方程式の場合には)現れることが原因であり、現時点の方針で試みを継続してもおそらく構成は困難で、何らかの新しいアイデアが必要であるように思われる。 第6パンルヴェ方程式の超越解に対する3つ組(M,D,Δ)の具体形の構成については、現在も進展中であるが、まだ確定的な結果は得られていない。 このような理由により「やや遅れている」という自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究推進方策として、今年度研究を行って継続中の課題のうち、まず「q-差分方程式に対する大久保型標準形と平坦構造のq-類似の構成」についてはq-差分方程式の階数が3以上の場合には現在の方針での研究の進展が難しいと思われるため(時間を有効に利用するという観点から)一旦保留ということにする。「第6パンルヴェ方程式の超越解に対する3つ組(M,D,Δ)の具体形の構成」については引き続き研究を進めていく。まず、焦点集合の近傍における正則解について調べ、その後に一般解について調べる。また、ある程度の結果が得られた後、神保道夫によるパンルヴェ方程式の解の漸近表示やO.Lisovyyによる共形ブロックを用いたパンルヴェ方程式の解の展開公式との関連について調べる。 また、次年度より研究を開始する新しい課題として、永野中行による複素鏡映群と関係するK3曲面と保型形式についての研究と平坦構造との関連についての研究を行いたい。まずはK3曲面と保型形式に関する研究結果の詳細を理解した上で、本研究との関係が付けられるかの検討から開始する。 これらの研究においては、関連する研究者との研究打ち合わせが重要となるであろう。
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