研究課題/領域番号 |
21K03315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
太田 雅人 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (00291394)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非線形シュレディンガー方程式 / 非線形分散波動方程式 / 孤立波 / 定在波 / 安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
研究の目的は、非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式など非線形分散波動方程式の孤立波解に関連した研究を推進することである。特に、孤立波解のまわりの局所的な問題である軌道不安定性だけでなく、孤立波解の近傍から離れた後、解が有限時間で爆発するかという大域的な問題に関する研究に重点をおいている。また、パラメータによって孤立波解の安定性と不安定性が変わる臨界的な状況を考察し、非線形分散波動方程式の孤立波解のまわりの解の大域挙動の解明を目指している。
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研究実績の概要 |
研究の目的は非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式など非線形分散波動方程式の孤立波解の安定性に関する研究を推進することである。特に、パラメータによって孤立波解の安定性と不安定性が変わる臨界的な状況を考察し、非線形分散波動方程式の孤立波解のまわりの解の大域挙動の解明を目指している。 2023年度は前年度に続き、空間1次元において引力的なデルタ関数ポテンシャルと5次の非線形相互作用および斥力的な3次の非線形相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式の定在波解の安定性について考察した。空間1次元において5次の非線形項は質量 (L^2) の意味で臨界的である。劣臨界的な摂動項である引力的なデルタ関数ポテンシャルと斥力的な3次の非線形項を導入することにより、この臨界的状況は壊れるが、両者が釣り合ったとき別の新たな臨界的状況が生じる。 質量 (L^2ノルム) が臨界質量よりも真に小さい場合に定在波解はすべて安定であることを示した中西賢次教授(京都大学数理解析研究所)との共同研究の結果を2023年7月にサンパウロ大学で開催された国際会議で発表した。質量 (L^2ノルム) が臨界質量以上の場合の定在波解の不安定性については未解明な点が残されており、2024年度中に解決すべき研究課題としたい。 また、2023年9月に日本数学会解析学賞を受賞した。その受賞特別講演を準備する過程で、二重冪型の非線形シュレディンガー方程式の定在波解の強い意味での不安定性に関する深谷法良氏との共著論文 (2018) において鍵となる補題の簡単な別証明を発見した。より一般の非線形項をもつ場合に結果を拡張するための足がかりになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな進展ではないが、研究課題の最終目標を達成するためのいくつかの成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
空間1次元における引力的なデルタ関数ポテンシャルと5次の非線形相互作用および斥力的な3次の非線形相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式の定在波解の安定性に関して、質量 (L^2ノルム) が臨界質量以上の場合の定在波解の不安定性については未解明な点が残されている。そのため、研究期間を1年延長し2024年度中に本研究課題を最終的に解決したいと考えている。そのために、近隣の大学で定期的に開催されているセミナーやその他の地域で開催される研究集会にこれまで以上に積極的に参加し、多くの研究者と意見交換をすることにより研究を推進したいと考えている。
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