研究課題/領域番号 |
21K03320
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
篠原 克寿 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (50740429)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非双曲型力学系 / 部分双曲型力学系 / アトラクタ / ヘテロ次元サイクル / 野生的力学系 / ホモクリニック接触 / 撹拌機 / 微分力学系 |
研究開始時の研究の概要 |
非双曲型力学系と呼ばれる力学系の構造及び分岐に関する以下の三つの研究を行う.(a) Henon-like family と呼ばれる3次元離散力学系にパラメータを加え,ヘテロ次元サイクルと呼ばれる構造を持つ力学系を理論・数値解析の両面から構成・分析する.(b)三次元の部分双曲型力学系でロバストに吸引領域になっているものを構成する.(c) Henon 写像を摂動することにより双曲性を得ることができるかという問題を,数値解析的手法を援用し考察する.研究活動は関連する研究者との研究打ち合わせやワークショップを開催することにより推進する.
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研究実績の概要 |
23年度は,準備をすすめていた論文 "A mechanism for ejecting a horseshoe from a partially hyperbolic chain recurrence class" が雑誌 "Ergodic theory and dynamical systems" に受理され,オンラインではすでに公開された.この論文は,3次元の部分双曲型力学系で,partially hyperbolic filtrating Markov partition という位相幾何学的な情報が与えられたものに対し,微小摂動を与えることで鎖回帰類にどのような分岐が生じうるかを調べたものである.より具体的には partially hyperbolic filtrating Markov partition は組み合わせ論的には有限型のサブシフトの構造を持つが,適当な条件の下でこのサブシフトの特定の部分をある程度の複雑さを保ったまま,新しい鎖回帰類を構成することができる,ということを本論文では記述した.この結果の簡単な応用として,仮定を満たす力学系はC1-通有的に非周期類を持つ,ということを証明した.これはこれまでの「このような力学系はC1-通有的に野生的である」という結果を深めたものであり,意義深い. この論文で発展させた技術は,部分双曲型力学系の鎖回帰類の分岐理論に関して広範な応用を持つと考えられる.その応用の一部を論文 "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" をまとめ,現在投稿中である. 23年9月に華中科技大学のXiaolong Li氏と研究打ち合わせを行い,非双曲型力学系の指数問題について議論を行った.Step skew product のような toy model に対しては一定の進展を見たが,まだ具体的な結果を得るには至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つの論文 "A mechanism for ejecting a horseshoe from a partially hyperbolic chain recurrence class" および "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" で部分双曲型力学系における分岐理論を展開し,非双曲型力学系における分岐の複雑さを具体的な形で記述することができた.非双曲型力学系の構造及び分岐の分析という当初の予定は十分な形で展開できたと思われる.ただ当初予定よりも深い結果が得られた,というわけでもないので,おおむね順調に進んでいる,との評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
論文 "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" を含め,これまで得られた結果の内容の周知を様々な研究集会での発表などを通して行う.また,部分双曲型力学系の指数問題に関する議論を,様々な研究者との討議を通じて深めてゆく予定である.
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